臍帯血造血前駆細胞の検討

[目的]臍帯血移植の報告例が増加しているが, 生着に必要な細胞数の指標は明らかではない. 今回, 我々は臍帯血前駆細胞と臍帯血液量, 有核細胞数の相互の相関性を計測し移植の細胞数の指標としての有用性について検討した. [方法]1)臍帯血は胎盤娩出前または後に, バッグまたはシリンジで採取した. 2)有核細胞数は自動血球測定機で計測した. 3)コロニー形成細胞はメチルセルロース法で, 顆粒球系前駆細胞(CFU-GM), 総コロニー形成細胞(CFC)を測定した. 4)フローサイトメトリー法でCD34陽性細胞を測定した. [結果]1)44回の臍帯血採取を行い, 採取量は41.0ml(1.5~87.5...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 43; no. 2; p. 291
Main Authors 茂木祐子, 佐藤典宏, 吉川義洋, 花谷馨, 山田秀人, 藤本征一郎, 池淵研二, 関口定美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 1997
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Summary:[目的]臍帯血移植の報告例が増加しているが, 生着に必要な細胞数の指標は明らかではない. 今回, 我々は臍帯血前駆細胞と臍帯血液量, 有核細胞数の相互の相関性を計測し移植の細胞数の指標としての有用性について検討した. [方法]1)臍帯血は胎盤娩出前または後に, バッグまたはシリンジで採取した. 2)有核細胞数は自動血球測定機で計測した. 3)コロニー形成細胞はメチルセルロース法で, 顆粒球系前駆細胞(CFU-GM), 総コロニー形成細胞(CFC)を測定した. 4)フローサイトメトリー法でCD34陽性細胞を測定した. [結果]1)44回の臍帯血採取を行い, 採取量は41.0ml(1.5~87.5ml)であり, 総有核細胞数は6.4×10^8 (0.8~16.7×10^8 )であった. 2)全血によるコロニー形成率はCFU-GM0.031%(0.004~0.085%), CFC 0.087%(0.017~0.283%)であり, CD34陽性率は0.31%(0.06~0.97%)であった. 3)採取臍帯血液量と有核細胞数, CFU-GM, CFC, CD34の相関係数は岸0.82, 0.49, 0.54, 0.55と血液量と有核細胞数の相関は認められるが造血前駆細胞との相関は認められなかった. 有核細胞数とCFU-GM, CFC, CD34の相関係数はr=0.62, 0.64, 0.66であり, 相関性は低かった. これに対しCD34とCFU-GM, CFCの相関係数はr=0.84, 0.86と相関を認めた. [考案]採取血液量及び有核細胞数と造血前駆細胞の相関性は低く, 臍帯血バンクにおいては造血前駆細胞の定量を行うことが重要と考えられた. CD34とCFU-GM, CFCが相関することから, 一方のみの測定とすることも可能であるが, 臨床評価も含めてさらに検討が必要と考えられた.
ISSN:0546-1448