B型肝炎ウイルス(HBV)キャリアクリニック

赤十字血液センターでは1972年より献血者血液のHBs抗原検査を行い, 陽性血を輸血から除外するとともに, 1979年からはHBs抗原陽性者に対して本人への通知を行っている. これらHBVキャリアの一部は肝炎, 肝硬変, 肝癌へと進展する可能性があり, その対策としては発症を早期に発見し, 適切な治療に導くことが必要である. そこで北海道赤十字血液センターではHBVキャリアに単に通知するだけでなく, 1985年から説明会を開いて, キャリアのHBVの知識の理解を促し, さらにキャリアクリニックを開設してHBVキャリアの定期的な健康管理を開始した1). 当初はこれらHBVキャリアに対しHBワクチ...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 41; no. 4; pp. 364 - 370
Main Authors 霜山龍志, 木本知子, 伊原弘美, 加藤俊明, 中瀬俊枝, 池田久實, 坂本眞一, 坂本裕史, 今井浩三, 関口定美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 1995
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Summary:赤十字血液センターでは1972年より献血者血液のHBs抗原検査を行い, 陽性血を輸血から除外するとともに, 1979年からはHBs抗原陽性者に対して本人への通知を行っている. これらHBVキャリアの一部は肝炎, 肝硬変, 肝癌へと進展する可能性があり, その対策としては発症を早期に発見し, 適切な治療に導くことが必要である. そこで北海道赤十字血液センターではHBVキャリアに単に通知するだけでなく, 1985年から説明会を開いて, キャリアのHBVの知識の理解を促し, さらにキャリアクリニックを開設してHBVキャリアの定期的な健康管理を開始した1). 当初はこれらHBVキャリアに対しHBワクチン用の原料血液のために献血していただくことも目的の一つであったが, リコンビナントHBワクチン出現後は無症候性キャリアのフォローアップを主たる目的としている2). 開設後10年間に3,000人余りのキャリアが登録され, 400人余りの発症者等が専門病院に紹介された. そこでこのHBVキャリアクリニック10年間の経験と成果を報告する.
ISSN:0546-1448