血液製剤中のC型肝炎関連マーカーの検出

目的:われわれは血液製剤の安全性を検討すると共に検査法の有用性を考慮して, 凝固因子製剤およびグロブリン製剤について検討した. 近年C型肝炎の治療にインターフェロンが有効であることがわかったが有効な症例はウイルス量およびウイルスのタイプに関連していると推測される. 現行のタイピングはPCRを用いるため, 一般の検査室で実施することは難しい. 今回われわれはELISAによる抗体のグルーピングの有用性について検討した. 更にPCRキットについて, われわれのPCRと感度および簡便さ, 所要時間, コンタミネーションの有無について比較した. 対象:凝固因子製剤およびグロブリン製剤 方法:ELISA:...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 40; no. 2; p. 402
Main Authors 吉原なみ子, 福嶋浩一, 鈴木寿子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 1994
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Summary:目的:われわれは血液製剤の安全性を検討すると共に検査法の有用性を考慮して, 凝固因子製剤およびグロブリン製剤について検討した. 近年C型肝炎の治療にインターフェロンが有効であることがわかったが有効な症例はウイルス量およびウイルスのタイプに関連していると推測される. 現行のタイピングはPCRを用いるため, 一般の検査室で実施することは難しい. 今回われわれはELISAによる抗体のグルーピングの有用性について検討した. 更にPCRキットについて, われわれのPCRと感度および簡便さ, 所要時間, コンタミネーションの有無について比較した. 対象:凝固因子製剤およびグロブリン製剤 方法:ELISA:抗体, グルーピング(国際試薬) PCR:自家製, HCVキット(アンプリコアHCV;ロッシュ社), 自家製, タイピング 結果:1)第2世代のHCV抗体スクリーニング以前の凝固因子製剤はHCV遺伝子および抗体は陽性が多かったが以後は全て陰性であった. 2)凝固因子製剤のグルーピングの結果, G-2型はなかった. 3)グルーピングとタイピングの結果は一致した. 4)グロブリン製剤は全てHCV抗体が陽性であったがPCRは全て陰性であった. グルーピングの結果はG-1型(タイプI型とII型)とG-2型(タイプIII型とIV型)が共存していた. 5)PCRHCVキットは感度, 特異性が良好であり, 増幅産物のコンタミが認められなかった. 考察:ELISAによるグルーピングはタイピングと同様な結果が得られ, インターフェロン投与の際の検査に有用と考えられる. またアンプリコアHCVキットは検査室で実用的なキットであると思われた. わが国の凝固因子はインターフェロンの効きにくいG-1型であった. グロブリン製剤中にはHCV遺伝子の混入は見られなかった. グロブリン製剤中に中和抗体が存在しているならば両グループの感染予防に有効であろう. 更に最近の血液製剤はHCV感染に関して安全であることがわかった.
ISSN:0546-1448