小児ALL/NHL58例に対するPBSCT治療成績:CCLSG成績

【目的】小児癌・白血病研究グループ(CCLSG)では現在までに58名の小児ALL/NHLに対して自家末梢血幹細胞移植術(Peripheral blood stem cell autograft; PBSCT)を施行したのでその治療成績について報告する. 【対象・方法】対象は1987年10月から1992年9月までにCCLSG関連施設においてPBSCTを施行した58例でALL50名, NHL8名であり, 年令の中央値は9才(1-17才)であった. PBSCTの施行時期は, 初回寛解期22例(ALL:17, NHL5), 第二寛解期22例(ALL:20, NHL2), 第三・四寛解期6例(ALL:6...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 39; no. 2; p. 535
Main Authors 渡辺新, 高上洋一, 小泉晶一, 松下竹次, 菊田敦, 古山輝久, 岩井朝幸, 下河達雄, 江口春彦, 村上達夫, 川上清, 堀越泰, 小田慈, 清水宏之, 三間屋純一, 藤本孟男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 1993
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Summary:【目的】小児癌・白血病研究グループ(CCLSG)では現在までに58名の小児ALL/NHLに対して自家末梢血幹細胞移植術(Peripheral blood stem cell autograft; PBSCT)を施行したのでその治療成績について報告する. 【対象・方法】対象は1987年10月から1992年9月までにCCLSG関連施設においてPBSCTを施行した58例でALL50名, NHL8名であり, 年令の中央値は9才(1-17才)であった. PBSCTの施行時期は, 初回寛解期22例(ALL:17, NHL5), 第二寛解期22例(ALL:20, NHL2), 第三・四寛解期6例(ALL:6), 再発時8例(ALL:7, NHL1)であり, 初回寛解期例は全員が発症時に高リスク因子を有し, 初発から移植までの期間は3~13ヵ月(中央値8ヵ月)であった. 移植前処置として全例に全身放射線照射を施行せずMCNUをkey drugとしたMCVAC療法(47例)をはじめとした超大量化学療法を行った. また4例に対して2回連続のDouble PBSCTを施行した. 【成績】全例に生着を認め, 移植後好中球数が500/立方ミリメートル, 白血球数が1000/立方ミリメートルを越えたのはともに中央値で12日であった. 再発時に移植が行われた8例中2例が移植合併症(間質性肺炎, 頭蓋内出血)により死亡した. 全例移植後は無治療で経過観察し, 58例中31例が移植後0~17(中央値4)ヵ月で再発し, 58例中25例143%)が移植後2~54(中央値12)ヵ月を無病気生存中である. 初回寛解期移植例から寛解導入不能例を除いた13例のうちで移植前に8ヵ月以上の強化療法を行った7例においては1例が移植後6ヵ月で再発したのみであった. ALL第二寛解期移植例では初回化学療法後18ヵ月未満で再発した早期再発9例中7例が無病期生存中であるのに対し, 初回化学療法後18ヵ月以降に再発した晩期再発11例中7例が移植後2~17ヵ月で再発した. またALL第二寛解期移植例のうちで, 再発した9例中7例がcommon ALLであり, 移植方法の再検討が必要であると考えられた. 現在CCLSGでは初発時, または再発時から同一のプロトコールでPBSCTまで約8ヵ月間の強化療法を行うProspective Studyが進行中である.
ISSN:0546-1448