抗eヒトモノクロナール抗体の作製と血清学的検討について

【目的】 血液型判定用試薬の自給自足を目的とし, 今回抗C+e抗体保有者のリンパ球を用いて, Rh式血液型e抗原に対するモノクロナール抗体を作製したので, 血清学的性状について検討した. 【材料および方法】 抗体保有献血者リンパ球を, Epstein-Barr(EB)ウィルスを用いてトランスフォームさせた後, ミエローマ細胞(JMS-3)と融合した. 抗体産生細胞のスクリーニングは, フィシン処理R_1 R_1 血球で行ない, 血清学的検討は, 培養上清を用い, 酵素処理血球にて行なった. 【結果】 限界希釈法によるクローニングを繰り返すことにより, 抗e抗体産生細胞(C-14)を樹立した....

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 39; no. 2; p. 410
Main Authors 宮村友造, 渡辺典子, 内川誠, 津久井和夫, 十字猛夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 1993
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ISSN0546-1448

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Summary:【目的】 血液型判定用試薬の自給自足を目的とし, 今回抗C+e抗体保有者のリンパ球を用いて, Rh式血液型e抗原に対するモノクロナール抗体を作製したので, 血清学的性状について検討した. 【材料および方法】 抗体保有献血者リンパ球を, Epstein-Barr(EB)ウィルスを用いてトランスフォームさせた後, ミエローマ細胞(JMS-3)と融合した. 抗体産生細胞のスクリーニングは, フィシン処理R_1 R_1 血球で行ない, 血清学的検討は, 培養上清を用い, 酵素処理血球にて行なった. 【結果】 限界希釈法によるクローニングを繰り返すことにより, 抗e抗体産生細胞(C-14)を樹立した. 培養上清は, 食塩水法で弱く, 酵素法で強く反応した. 各種Rh表現型血球との反応は, e抗原陽性血球(R_1 R_1 , R_1 R_2 , R_1r , R_2r , R_0 R_0 , r, r”, r, rr等)と反応し, e抗原陰性血球(R_2 R_2 , r”r”, R_z R_z , r^y r^y , -D-等)との反応は, 認められなかった. フィシン処理血球を用いた抗e抗体価はRlR1血球で256倍, R2, 血球で64倍であった. また, 2-Mercaptoethanol(2ME)処理により, e抗原陽性血球との反応は消失した. 現在まで, 約6,000例の献血者血球について市販抗e血清とC-14培養上清を比較したが, 不一致例は認められなかった. 【まとめ】今回作製したモノクロナール抗e抗体は, 2ME処理の結果からIgMであると考えられ, 酵素法で最も強く反応した. また市販ポリクロナール抗e抗体との比較から, e抗原の有無の判定に有用な試薬であると考えた.
ISSN:0546-1448