自主開発低血清培地によるLAK細胞の高密度培養
近年, LAK(lymphokine activated killer)細胞による癌の養子免疫療法が盛んに試みられている. その培養方法も実験室レベルから実際にそくした臨床応用の培養方法へと進歩1)~4)し, 凍結保存した患者リンパ球から10^10 個のLAK細胞が繰り返し投与できるようになった5). また, 本療法の有効例も脳腫瘍などを中心に報告されている6). しかし, このような大量のリンパ球培養には一回に数百mlのヒト血清が必要であり, 繰り返し投与するためにはさらにその何倍もの量が必要となる. そのためウイルス感染や経済面など本療法を行なう上で大きな問題となっている. 使用血清量を減...
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Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 36; no. 3; pp. 387 - 393 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
1990
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Summary: | 近年, LAK(lymphokine activated killer)細胞による癌の養子免疫療法が盛んに試みられている. その培養方法も実験室レベルから実際にそくした臨床応用の培養方法へと進歩1)~4)し, 凍結保存した患者リンパ球から10^10 個のLAK細胞が繰り返し投与できるようになった5). また, 本療法の有効例も脳腫瘍などを中心に報告されている6). しかし, このような大量のリンパ球培養には一回に数百mlのヒト血清が必要であり, 繰り返し投与するためにはさらにその何倍もの量が必要となる. そのためウイルス感染や経済面など本療法を行なう上で大きな問題となっている. 使用血清量を減らす手段として低血清培養さらには無血清培養法が考えられるが, LAK細胞の増殖のための完全無血清培地は, まだ開発途上である. また, 低血清培地も回転培養などの揺動培養法においては蛋白質濃度が低い等, 利用が困難である. 今回我々は, 蛋白質の代用としてgelatinを添加した低血清培地を開発し, 凍結リンパ球を濃縮回転培養法(concentrate rotary tissue culture system:以下CRTC法), およびhollow-fiber system(Acusyst-P:以下AP法)に応用した. その結果, 従来の方法に比較して約10分の1の血清量で同等のLAK細胞が培養されたので報告する. |
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ISSN: | 0546-1448 |