HTLV-I抗体検査におけるWB法の利点と問題点について
【目的】HTLV-I抗体検査法の一つ, WB法は多少の煩雑さを伴うが, 客観性が高く特異性が確認しやすいという利点を有する. 今回, 我々は, 自家調製品(WB-OBC)を用い延べ13,000検体についてWB法を試みた経験より, F社のWBキットとの比較も踏まえ, HTLV-I抗体検査におけるWB法の利点と問題点について述べる. 【方法】検体:献血者血清. パンドの特異性を調べる際には, 抗HTLV-Iモノクローナル抗体(GIN-14, REY-7, MET-2, Lt-4)を使用. ストリップの調製及びAssay法:抗原としてMT-2 lysateを用いた他は, 本誌35-2(1989)p2...
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Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 36; no. 2; p. 288 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
1990
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Summary: | 【目的】HTLV-I抗体検査法の一つ, WB法は多少の煩雑さを伴うが, 客観性が高く特異性が確認しやすいという利点を有する. 今回, 我々は, 自家調製品(WB-OBC)を用い延べ13,000検体についてWB法を試みた経験より, F社のWBキットとの比較も踏まえ, HTLV-I抗体検査におけるWB法の利点と問題点について述べる. 【方法】検体:献血者血清. パンドの特異性を調べる際には, 抗HTLV-Iモノクローナル抗体(GIN-14, REY-7, MET-2, Lt-4)を使用. ストリップの調製及びAssay法:抗原としてMT-2 lysateを用いた他は, 本誌35-2(1989)p261に記載の方法に準する. その他の抗体検査法:PA法, IF法, エイテスト法, GagEnv法を併用. 富士レビオ製WBキット(WB-F)も使用. 【成績】WB-OBCの特徴:p19, p24, p28, p53(Gag), p40(tax), gp46(env)に対する抗体を検出可能で, p19p28に関してはWB-Fより高感度に, p24に関してはWB-Fより特異的に反応した. 問題点について列挙する. (1)p19, p28(p21, p53)が認められるがPA, IF, GE法では陰性の検体が0.4%(大阪)~1.4%(熊本)存在した. (2)全検査陽性でも一部のパンドを欠く検体が34%あった. (3)PA, IF, GE法陽性, エイテスト陰性で, p19, p28を欠く検体が3例あり, うち1例は6ヶ月後に両パンドの出現を見た. 【結論】広く用いられているF社のWBキットとは異なり, WB-OBCでは「env抗体が検出されない, p24の出現頻度が高く判定保留となるケースが多い」等の問題点は見当たらなかった. が, 成績(1)~(3)に示したケースも頻度は低いが存在するため, (2)の結果と相まり統一的なWB法の判定基準を定めるのは難しい. しかしながら, 完全なHTLV-I抗体検査法のない現在, WB法は特異性が確認しやすく, 抗体のスペクトラムに関する情報を提供するという点で, やはり有用なHTLV-I抗体検査法の一つであると考える. 本研究は北里大学田中勇悦, 戸澤秀樹両博士と共同で行われた. |
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ISSN: | 0546-1448 |