Hairy cell leukemiaに対するLeukapheresisの治療効果
(目的)Hairy cell leukemia(HCL)の治療は, 摘脾あるいはinterferonの投与が行われているが, 有効例は少なく治療法はまだ確立されていない. 今回2例のHCL(1例はvariant)に対してLeukapheresis(LP)の単独治療を行い, 2例ともLP開始より2年以上良好にcontrolされている. LPの治療効果とそのメカニズムを検討したので報告する. (方法)LPは, 血液成分分離装置としてIBM2997を使用し, 2週に1回の間隔で施行した. 条件は, 回転速度:800~900rpm, 処理血液量:4~10リットル, 血液速度:40~80ml/min抗凝...
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Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 33; no. 2; p. 216 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
1987
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ISSN | 0546-1448 |
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Summary: | (目的)Hairy cell leukemia(HCL)の治療は, 摘脾あるいはinterferonの投与が行われているが, 有効例は少なく治療法はまだ確立されていない. 今回2例のHCL(1例はvariant)に対してLeukapheresis(LP)の単独治療を行い, 2例ともLP開始より2年以上良好にcontrolされている. LPの治療効果とそのメカニズムを検討したので報告する. (方法)LPは, 血液成分分離装置としてIBM2997を使用し, 2週に1回の間隔で施行した. 条件は, 回転速度:800~900rpm, 処理血液量:4~10リットル, 血液速度:40~80ml/min抗凝固剤:ACD-A(血流比10:1)および置換液:生理食塩水で行った. HCL細胞の性状(1)増殖動態(flow cytometryによるcell cycleの測定)(2)HCL患者の骨髄細胞のstem cell assay (SCA)(3)培養濾液による正常細胞のSCAに対する抑制効果およびB cell growth factor (BCGF)の活性を検討した. (結果)2例のLP前後による血液学的変動は, それぞれ血色素量(g/dl):-1.6±0.5, -1.5±0.5, 血小板(×10^4 /μl):-1.0±0.5, -6.6±5.3, 除去白血球数(×10^10 ):3.9±1.3, 5.8±2.8, および除去率(%):79.0, 71.8であった. HLC細胞の性状(1)増殖分画(S期, G_2 +M期)の比率:0.2%, 0.3%, (2)SCA:CFU-C(control 97.6±13.3);0.5, 1.5, BFU-E(control 123.5±25.9);0, 0, (3)培養濾液添加による正常骨髄細胞のCFU-C抑制は濃度依存性に認められ正常の68.8%, 62.5%に抑制された. また培養濾液のBCGF活性は濃度依存性に認められた. (結語)2例のHCL患者がLPによって良好にcontrolされている理由として, 多量の白血病細胞が除去されたため, 正常造血幹細胞に対する抑制が減少し, 造血能を改善させたことと白血病細胞がBCGF様物質を産生して, autocrine systemの活性を抑制したため白血病細胞の増殖を抑制した可能性が示唆された. 以上より増殖能の低い他の白血病にもLPは試みるべき治療法と考えられた. |
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ISSN: | 0546-1448 |