ABO式血液型不適合骨髄移植における生着マーカーの検討
I目的:型不適合骨髄移植例において, 生着マーカーとしての血液型関連各種検査を行い, 早期確認における意義について検討したので報告する. II症例:36才, 男, ALL, O型. 初回寛解導入後, HLA適合でB型の妹より骨髄移植を受けた. 型不適合の為, 骨髄はFicoll法で赤血球を除き, 単核球分画を移植した. III方法及び成績:1)血清中の凝集素価のIgM型は室温15分放置後遠心判定し, IgG型は抗IgG血清で測定した. 抗B凝集素価は移植前ではIgM, IgG型がそれぞれ128, 256倍で, 移植後はIgM, IgG型ともに漸減し, 41病日ではそれぞれ2, 8倍へと低下した...
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Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 33; no. 2; p. 194 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
1987
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Summary: | I目的:型不適合骨髄移植例において, 生着マーカーとしての血液型関連各種検査を行い, 早期確認における意義について検討したので報告する. II症例:36才, 男, ALL, O型. 初回寛解導入後, HLA適合でB型の妹より骨髄移植を受けた. 型不適合の為, 骨髄はFicoll法で赤血球を除き, 単核球分画を移植した. III方法及び成績:1)血清中の凝集素価のIgM型は室温15分放置後遠心判定し, IgG型は抗IgG血清で測定した. 抗B凝集素価は移植前ではIgM, IgG型がそれぞれ128, 256倍で, 移植後はIgM, IgG型ともに漸減し, 41病日ではそれぞれ2, 8倍へと低下した. 抗A凝集素価は移植前IgM, IgG型ともに64倍で, 移植後も力価に大きな変動はなかった. 2)抗B血清の吸着解離試験は熱解離法により, 23病日に初めて抗体の解離を認め, 以降最高32~64倍の解離が認められた. 3)B型転移酵素活性は, 37℃4時間恒温振盪を行い, O型血球の転換を行った. 41病日に4倍の転移酵素活性が認められ, 漸増傾向を示し16~32倍の活性を認めた. 4)凝集血球はコイルプラネット遠心機(CPC)で凝集血球を分離し, ヘモグロビン濃度から算定した. 30病日に約1%の凝集血球を認め, 65病日では30%以上のB型血球を認めた. 5)血液型は患者がO, P_1 (-), MNssで, 供血者はB, P_1 (+), Mssで, その他に差は認められなかった. 試験管法での抗B血清との反応は44病日, 抗P_1 血清とは室温30分放置後遠心判定で23病日に混合凝集像が確認された. なお, 染色体分析によりXXが25病日に確認された. IV結論:生着マーカーの検索において, B抗原(吸着解離試験)とP_1 抗原(混合凝集像)が23病日, XXの確認(染色体分析)が25病日, B型凝集血球(CPC法)が30病日, B型転移酵素活性は41病日, 抗B血清との混合凝集像は44病日に認められた. これらのことから, B抗原の吸着解離試験での確認とP_1 抗原の検出が最も早く, 生着確認の簡便な方法として有効であると考えられた. |
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ISSN: | 0546-1448 |