ABmと考えられる一家系

B型の亜型はアーリア系人種の多い欧米諸国では極めて稀とされているが, 我が国では比較的頻度が高く検出されている. 今回われわれはおもて, うら試験の不一致からABmと考えられる一例に遭遇し, その家系調査をおこなったので報告する. 発端者は58歳の男, 肺癌の手術の為本学附属病院外科に入院し, 術前検査ではおもて検査では抗Aに凝集するが抗Bとは反応せず, うら検査ではA型血球, B型血球のいずれをも凝集させず, 不一致がみとめられた. ドリコス及びウーレックスにより凝集し, O型血清(抗A, B)とはA因子をもっているので凝集するが, A型血球で吸収した後では凝集を示さず, また動物免疫抗B,...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 24; no. 1/2; pp. 47 - 48
Main Authors 鈴田達男, 清水彩子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 1978
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Summary:B型の亜型はアーリア系人種の多い欧米諸国では極めて稀とされているが, 我が国では比較的頻度が高く検出されている. 今回われわれはおもて, うら試験の不一致からABmと考えられる一例に遭遇し, その家系調査をおこなったので報告する. 発端者は58歳の男, 肺癌の手術の為本学附属病院外科に入院し, 術前検査ではおもて検査では抗Aに凝集するが抗Bとは反応せず, うら検査ではA型血球, B型血球のいずれをも凝集させず, 不一致がみとめられた. ドリコス及びウーレックスにより凝集し, O型血清(抗A, B)とはA因子をもっているので凝集するが, A型血球で吸収した後では凝集を示さず, また動物免疫抗B, ヒト由来抗Bとは何れも反応しなかった. うら試験ではA血球, B血球のほかO血球とも反応をみとめず, 唾液の検索ではBおよびHが証明された.
ISSN:0546-1448