先天性第VII因子欠乏症患者に対するプロトロンビン複合体製剤の輸注効果

先天性第VII因子欠乏症は, 1951年にAlexanderらによって初めて報告されて以来, 世界で数十例の報告があるが, 本邦では1962年, 福武・勝沼らの報告が第一例である. この先天性第VII因子欠乏症患者に, 第II, , III, IX, X因子複合体製剤であるコーナイン, PPSBを輸注する機会を得ためで, その輸注効果について報告する. 1. 症例 患者は35歳の女性で, 昭和35年, 過多月経, 下肢溢血斑, 貧血を主訴として本院内科を受診した. 現症歴としては, 7歳の時に鼻出血, 下肢溢血斑に気付いたが, 別に治療を加える事なく, 13歳迄小学校に通っていた. 鼻出血はそ...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 22; no. 3/4; pp. 108 - 109
Main Authors 竹内泉, 池松正次郎, 浮田実, 福武勝博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 1976
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ISSN0546-1448

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Summary:先天性第VII因子欠乏症は, 1951年にAlexanderらによって初めて報告されて以来, 世界で数十例の報告があるが, 本邦では1962年, 福武・勝沼らの報告が第一例である. この先天性第VII因子欠乏症患者に, 第II, , III, IX, X因子複合体製剤であるコーナイン, PPSBを輸注する機会を得ためで, その輸注効果について報告する. 1. 症例 患者は35歳の女性で, 昭和35年, 過多月経, 下肢溢血斑, 貧血を主訴として本院内科を受診した. 現症歴としては, 7歳の時に鼻出血, 下肢溢血斑に気付いたが, 別に治療を加える事なく, 13歳迄小学校に通っていた. 鼻出血はその後も1ヵ月に1回位出現し, 時に大量出血も認められた. 下肢溢血斑は打撲により容易に出現している. 初潮は14歳の頃にあり月経時には出血量が比較的多く, 持続日数も10日から2週間位と長かった. 家族歴としては両親が従兄妹同士である以外は家族親戚間に血液疾患, 出血性素因は認められない.
ISSN:0546-1448