各科領域の疼痛疾患の良導絡治療-頚部痛の良導絡チャートと頚部圧痛の変化-(鍼灸経験群と未経験群とによる検討)
【はじめに】 頚部に痛み等の愁訴があるものに良導絡代表測定点を計測し, 鍼灸経験群と未経験群とに分けて良導絡チャートの興抑を比較検討した. また, 圧痛計とVASで計測した頚部圧痛の変化と良導絡チャートとの関連を検討した. 【対象方法】 1;経験群20例, 未経験群20例に対して術前の良導絡代表測定点を計測し, チャート上にて生理的範囲より逸脱したものを1として, 左右良導絡の興, 抑の各数量をみた. II;経験群66例, 未経験群34例に対して左右のF54臨泣に施鍼(40mm-16号鍼)し, 5分間の置鍼を行い, 前後のF532完骨付近の最高圧痛点の圧痛閾値を計測した. 計測は圧痛計FPメー...
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Published in | 日本良導絡自律神経学会雑誌 Vol. 49; no. 4; p. 29 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本良導絡自律神経学会
2004
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ISSN | 0913-0977 |
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Summary: | 【はじめに】 頚部に痛み等の愁訴があるものに良導絡代表測定点を計測し, 鍼灸経験群と未経験群とに分けて良導絡チャートの興抑を比較検討した. また, 圧痛計とVASで計測した頚部圧痛の変化と良導絡チャートとの関連を検討した. 【対象方法】 1;経験群20例, 未経験群20例に対して術前の良導絡代表測定点を計測し, チャート上にて生理的範囲より逸脱したものを1として, 左右良導絡の興, 抑の各数量をみた. II;経験群66例, 未経験群34例に対して左右のF54臨泣に施鍼(40mm-16号鍼)し, 5分間の置鍼を行い, 前後のF532完骨付近の最高圧痛点の圧痛閾値を計測した. 計測は圧痛計FPメーターを使用した. 更に, VAS法を用いて施鍼前後の圧痛の程度を表現させた. 【結果】 1;良導絡代表測定点の経験群の平均電流量(37.9μA)は未経験群より低い. 経験群の興は右H5淋巴管, 右F2肝臓が多く, 抑は左右H2血管, 右F3腎臓が多い. 未経験群の興は右H3心臓, 右F2肝臓, 右F6胃が多く, 抑は左右H2血管, 左右F3腎臓が多い. II;臨泣施鍼後, 経験群の圧痛閾値は上昇(p<0.01), VASは低下(p<0.01). 未経験群の圧痛閾値は変化が認められず, VASは低下(p<0.05). 【考察】 良導絡計測にて経験群は平均電流量が低かったことより, 愁訴の慢性化傾向があること等が伺われた. また, 経験群と未経験群共にH2血管, F3腎臓の抑が多いことより, 頚部に痛み等の愁訴があると気分が沈みやすく疲れやすい傾向があること等が示唆された. また圧痛閾値とVASを指標とした検討では, 鍼治療後経験群は良好な成績を得たが, 未経験群は客観的な圧痛閾値に変化がみられなかったことより, 鍼に対する不安や緊張等の精神的ストレスの影響が伺われた. しかし, 良導絡チャートとの検討では, 精神的ストレスを表しているとされるH系が低くF系が高い逆転パターンは, 経験群にはみられたが未経験群はここでは見出すことが出来なかった. |
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ISSN: | 0913-0977 |