血圧と関連する良導絡の数理統計学的検討
【目的】循環器系の状態や機能を診察する場合, 誰もがまず血圧Blood Pressure/心(脈)拍Heart Rate(以下BP/HR)を測る. そのBP/HRは我々の生命が続く限り存在し, その異常は様々な疾病の誘因および治療にも影響する. BP/HRの東洋医学的診断によってBP/HRを説明した報告は多い. 主に弁証(気血/八綱)と循環機能の関連を論じた報告である. だが, 循環機能と経路の関係を論じたものは少なく, 客観的に研究した報告はほとんどない. BP/HRと経路の関係を知ることは, 東洋医学による新しい血圧Controlの可能性を示唆する. 我々はBP/HRと良導絡(経路)電流を...
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Published in | 日本良導絡自律神経学会雑誌 Vol. 48; no. suppl; p. 33 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本良導絡自律神経学会
2003
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0913-0977 |
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Summary: | 【目的】循環器系の状態や機能を診察する場合, 誰もがまず血圧Blood Pressure/心(脈)拍Heart Rate(以下BP/HR)を測る. そのBP/HRは我々の生命が続く限り存在し, その異常は様々な疾病の誘因および治療にも影響する. BP/HRの東洋医学的診断によってBP/HRを説明した報告は多い. 主に弁証(気血/八綱)と循環機能の関連を論じた報告である. だが, 循環機能と経路の関係を論じたものは少なく, 客観的に研究した報告はほとんどない. BP/HRと経路の関係を知ることは, 東洋医学による新しい血圧Controlの可能性を示唆する. 我々はBP/HRと良導絡(経路)電流を長期測定し, 両者の関連を多変量解析で検討した. 【方法】比較的に血圧の高い患者2名を被験者とし, 毎回の鍼治療前にオムロン社製の自動血圧計を用いてBP/HRを測定(右上腕動脈仰臥位)した. その後, NR社製の皮膚通電電流計(D-401)で, 良導絡測定した. 両者とも1/2Wの間隔で治療をおこない, 被検者A(♂, 67~70歳)は約2ヶ年間に渡り測定し, 被検者B(♂, 50~52歳)は約1. 5ヶ年間測定した. データ処理はSPSS Ver. 11 for Win(統計ソフト)を用い, BP/HRと良導絡電流を変数として互いの関係を主成分分析(固有値1以上の主成分, 累積寄与率70%位)した. さらに, BP/HRに関係する主成分の因子スコアを正/負の2群に分け, 両群のBP/HRをt検定(p<0. 05以下有意)した. 【結果】各変数の基本統計量は, 数理解析が可能な数値であった. 主成分分析では比較的高い固有値の主成分を検出し, 第3主成分までに累積寄与率は70%近くなった. BP/HRと良導絡の関係がみられたのは第1と第2主成分であった. 両被験者の第1主成分の各良導絡は正の固有値ベクトルであった. 第1主成分の因子スコアの正/負のHRに有意差はあったが, BPに有意差は無かった. 第2主成分では固有値ベクトルがHとF系で正/負に別れた. また, 被験者AはF1(脾)およびF4(膀胱), 被験者BではF1(脾)およびF3(腎臓)に比較的大きな固有値ベクトルがみられた. 第2主成分の因子スコアの正/負のBPに有意差があった. 【考察と結語】両被験者とも第1主成分にHR, 第2主成分にBPと良導絡に関係を認めたことから全良導絡変動はHRと, HとF系の分離はBPを関連することが考えられた. とくに全良導絡上昇時はHRが増加し, また上肢にある良導絡電流が下降, 下肢にある良導絡電流が増加するとBP上昇を伴うと考えられた. このような良導絡電流変動は, 一般的には「ノイローゼ」時に現れる良導絡現象とされている. それに加えてF1(脾), F4(膀胱), F3(腎臓)良導絡が, さらに深く関連すると考えられた. このことから「ノイローゼ」や「ストレスによる一過性の血圧変動」は良導絡測定で客観的に評価できると考えられた. |
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ISSN: | 0913-0977 |