「高齢者の特発性食道入口部通過障害に対して摂食嚥下訓練が有効であった1例」へのコメント / 「Letter to Editor」への回答

本誌25巻3号に掲載された症例報告「高齢者の特発性食道入口部通過障害に対して摂食嚥下訓練が有効であった1例」にはいくつか問題点があり, 何も知らない読者が読むと誤解を招き混乱すると思われる. 1. タイトルに「特発性食道入口部通過障害」とあるが, これまでにこのような病名は知られていない. あたかも既知の病名であるかのような印象を受け, 誤解を招きやすいと考えられる. 特発性輪状咽頭嚥下困難症や特発性輪状咽頭嚥下障害という病名では報告がある. 2. 本症例はサルコペニアに伴う食道入口部の開大不全が疑われるが, 体重のみの記載で栄養評価やサルコペニアに関する記載が全くなされていない. サルコペニ...

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Published in日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 27; no. 1; pp. 83 - 85
Main Authors 藤島一郎, 大野友久, 松尾貴央, 田中誠也, 鈴木啓介, 高田輝彦, 宮本宜徳, 岡本徹, 山村誠
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本摂食嚥下リハビリテーション学会 30.04.2023
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ISSN1343-8441

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Summary:本誌25巻3号に掲載された症例報告「高齢者の特発性食道入口部通過障害に対して摂食嚥下訓練が有効であった1例」にはいくつか問題点があり, 何も知らない読者が読むと誤解を招き混乱すると思われる. 1. タイトルに「特発性食道入口部通過障害」とあるが, これまでにこのような病名は知られていない. あたかも既知の病名であるかのような印象を受け, 誤解を招きやすいと考えられる. 特発性輪状咽頭嚥下困難症や特発性輪状咽頭嚥下障害という病名では報告がある. 2. 本症例はサルコペニアに伴う食道入口部の開大不全が疑われるが, 体重のみの記載で栄養評価やサルコペニアに関する記載が全くなされていない. サルコペニアやフレイルが注目されている中で, 症例報告とはいえ, 摂食嚥下リハビリテーション症例における現在の医学レベルを考慮して, 栄養評価が全くないのは問題であると考えられる. 診療記録が残っていると思われるので, 栄養状態等の評価について確認することを勧める.
ISSN:1343-8441