2-P2-11 インフルエンザの発症と口腔内細菌数, 口腔内環境との関連
【目的】 インフルエンザの発症は高齢者において重篤な転機をとることが多く, その予防に努める必要がある. 阿部らによると, 口腔内に存在する細菌が発する細菌性のプロテアーゼがインフルエンザの発症に影響を与え, 口腔ケアの介入によりインフルエンザの発症を抑制できたと報告しており, その予防法の一つとして注目されている. 本研究においては, 介護保険施設に入居する高齢者の口腔内環境とインフルエンザの発症との関連を知ることを目的とした. 【対象と方法】 介護保険施設14施設に入居する786名の要介護高齢者(平均年齢86歳)を対象に, 平成21年8月から9月の間に, 口腔内環境の主観的評価および起床直...
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Published in | 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 14; no. 3; p. 556 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本摂食・嚥下リハビリテーション学会
2010
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Summary: | 【目的】 インフルエンザの発症は高齢者において重篤な転機をとることが多く, その予防に努める必要がある. 阿部らによると, 口腔内に存在する細菌が発する細菌性のプロテアーゼがインフルエンザの発症に影響を与え, 口腔ケアの介入によりインフルエンザの発症を抑制できたと報告しており, その予防法の一つとして注目されている. 本研究においては, 介護保険施設に入居する高齢者の口腔内環境とインフルエンザの発症との関連を知ることを目的とした. 【対象と方法】 介護保険施設14施設に入居する786名の要介護高齢者(平均年齢86歳)を対象に, 平成21年8月から9月の間に, 口腔内環境の主観的評価および起床直後の唾液を舌下より採取し細菌数を測定した. その後, 他の疾患等で退所したものを除き6カ月の間追跡できたもの647名について検討した. インフルエンザの発症は各施設の嘱託医または関連医療施設の医師によって診断された. 【結果と考察】 期間中にインフルエンザを発症したものは19名であった. 口腔内環境のうち, 口腔乾燥の有無, 口臭の有無, 舌苔の有無, 口腔ケアの自立度とインフルエンザの発症の有無とに有意な関連を示した. 嚥下機能や栄養状態との関連は示されなかった. 口腔内細菌数のカテゴリとインフルエンザの発症に有意な関連が認められた. 以上より, 口腔内環境および口腔内細菌数がインフルエンザの発症に影響を与えている可能性が示された. 本研究の一部は, 厚生労働省科学研究費補助金(課題番号21220201)および, 平成21年度老人保健事業推進費等補助金によって行われた. |
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ISSN: | 1343-8441 |