2-P1-1 気管切開孔閉鎖に向けたリハビリテーション治療の効果

【背景】 気管切開孔の閉鎖に向けたリハビリテーション治療の報告は少なく, その方法や効果については確立されていない. 当科では, 側孔付カニューレを使用し, 上気道経由した呼吸・咳・嚥下等の訓練を実施している. 【方法】 2008年4月1日から2010年3月31日までの2年間にリハビリテーション治療目的に当院に転院した気管切開患者13名のうち上気道狭窄を認めた2例を除外した11例(平均年齢59歳, 男性6名, 女性5名)を対象として, 当院における治療経過および結果を, 診療録をもとに後方視的に調査した. 【結果】 疾患は, 脳梗塞5名, 脳出血2名, くも膜下出血1名, インフルエンザ脳症1...

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Published in日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 14; no. 3; p. 536
Main Authors 高橋素彦, 鶴田薫, 今井真紀, 前野豊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会 2010
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Summary:【背景】 気管切開孔の閉鎖に向けたリハビリテーション治療の報告は少なく, その方法や効果については確立されていない. 当科では, 側孔付カニューレを使用し, 上気道経由した呼吸・咳・嚥下等の訓練を実施している. 【方法】 2008年4月1日から2010年3月31日までの2年間にリハビリテーション治療目的に当院に転院した気管切開患者13名のうち上気道狭窄を認めた2例を除外した11例(平均年齢59歳, 男性6名, 女性5名)を対象として, 当院における治療経過および結果を, 診療録をもとに後方視的に調査した. 【結果】 疾患は, 脳梗塞5名, 脳出血2名, くも膜下出血1名, インフルエンザ脳症1名, 循環器疾患後の廃用性症候群2名で, 発症から転院までは平均91日(48日-154日)であった. 転院時の気管切開孔は, カフ・側孔付カニューレ6名, カフ付側孔なしカニューレ3例, カフ・側孔なしカニューレ1名, カフなし側孔付カニューレ1名で管理されていた. 9名が退院までに気管切開孔を閉鎖した. 5症例で, 側孔位置の不適合を認めて, 側孔付カニューレは使用困難であったが, そのうち4症例で気管切開孔は閉鎖可能であった. 気管切開孔が閉鎖困難であった症例は, 遷延性意識障害が1名, 髄膜炎・消化管出血で全身状態不良が1名であった. 栄養管理は, 転院時には嚥下食を経口摂取1名, 経管栄養10名であったが, 退院時には経口摂取7名, 経口摂取と経管栄養併用2名, 経管栄養2名となった. 経口摂取量は気管切開孔閉鎖後に向上した症例が多かった. 【結論】 重度の意識障害がなく, 全身状態が安定していた症例では, 気管切開孔は閉鎖可能であった.
ISSN:1343-8441