2-7-7 嚥下障害患者が再入院に至った要因の検討
【背景】 当院では2004年から嚥下チームを立ち上げ, 嚥下機能評価を行っている. かつて嚥下機能評価を行った症例でも, 再入院後に再び嚥下機能評価を依頼されることを経験する. 【目的】 一度嚥下機能評価を行った症例が, 再入院に至った要因と嚥下機能評価(VE・VF)との関係を明らかにするために検討した. 【対象】 2004年6月から2010年4月まで当院に入院し, 嚥下機能評価を行った延べ901例中, 再入院で嚥下機能評価を行った28例を対象とした. 【方法】 カルテを後方視的調査し, 1回目の嚥下機能評価および, 嚥下チームのアセスメント, 退院後の経過, 2回目以降の嚥下機能評価について...
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Published in | 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 14; no. 3; p. 527 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本摂食・嚥下リハビリテーション学会
2010
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Summary: | 【背景】 当院では2004年から嚥下チームを立ち上げ, 嚥下機能評価を行っている. かつて嚥下機能評価を行った症例でも, 再入院後に再び嚥下機能評価を依頼されることを経験する. 【目的】 一度嚥下機能評価を行った症例が, 再入院に至った要因と嚥下機能評価(VE・VF)との関係を明らかにするために検討した. 【対象】 2004年6月から2010年4月まで当院に入院し, 嚥下機能評価を行った延べ901例中, 再入院で嚥下機能評価を行った28例を対象とした. 【方法】 カルテを後方視的調査し, 1回目の嚥下機能評価および, 嚥下チームのアセスメント, 退院後の経過, 2回目以降の嚥下機能評価について検討した. 【結果】 28例中, 92.9%は誤嚥性肺炎を契機とした入院であった. また, 初回評価依頼理由も誤嚥性肺炎が最も多く, そのうち39.3%は脳梗塞, 脳出血などの後遺症であり, 35.7%はパーキンソン病や進行性核上性麻痺などの進行性神経疾患, 7.1%は多発性硬化症や皮膚筋炎などの症状再発性疾患, その他17.9%であった. 初回評価では口腔期, 咽頭期の多岐の障害に及んでおり, 摂食困難と判断されたが, 食形態・摂食方法の工夫などを行い, 摂食可能となり, 退院となった症例がほとんどであった. 2回目以降の評価では最終的に経口摂取不可能と判断された症例が60%であった. 退院後, 本チームが提示した嚥下食・方法を遵守できなかった症例も存在した. 【考察】 嚥下機能評価を急性期病院で行っても, 多くの症例は2回目以降の嚥下機能評価は他院で行われていると考えられるが, 当院で複数回評価施行した症例を検討した. 神経疾患の関与が多く, 様々な工夫をすることで, 摂食を可能にし, いったん退院に至ったが, 本人の希望, 家族・施設での介護状況にも影響を受けている事実が明らかとなった. 今後は安全性と希望の両面を叶える方法を模索していく必要がある. |
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ISSN: | 1343-8441 |