1-P4-14 捕食動作が摂食・嚥下機能に与える影響の検討 第一報 捕食から嚥下までの口唇運動について
【目的】 捕食時の口唇参加の有無, 前歯咬断の有無が食塊形成から嚥下までの顎・口唇運動にどのような影響を与えるか検討を行った. 【対象と方法】 対象は, 健康で嚥下時に異常運動が認められない個性正常咬合を有する成人男性7名(平均年齢23.2歳±1.9)である. 対象者にはペースト食2gを(1)口唇を使う, (2)歯でそぎ取る, スティックパン2gを(3)前歯で咬断する, (4)口腔内に放り込む, 以上の4条件下で摂取させ, 捕食から嚥下までの顎・口唇運動を三次元動作解析装置(OKK社製syncview)にて記録・計測した. 解析用マーカーは上下口唇正中, 左右口角に貼付し, 嚥下開始までの時間...
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Published in | 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 14; no. 3; p. 435 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本摂食・嚥下リハビリテーション学会
2010
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ISSN | 1343-8441 |
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Summary: | 【目的】 捕食時の口唇参加の有無, 前歯咬断の有無が食塊形成から嚥下までの顎・口唇運動にどのような影響を与えるか検討を行った. 【対象と方法】 対象は, 健康で嚥下時に異常運動が認められない個性正常咬合を有する成人男性7名(平均年齢23.2歳±1.9)である. 対象者にはペースト食2gを(1)口唇を使う, (2)歯でそぎ取る, スティックパン2gを(3)前歯で咬断する, (4)口腔内に放り込む, 以上の4条件下で摂取させ, 捕食から嚥下までの顎・口唇運動を三次元動作解析装置(OKK社製syncview)にて記録・計測した. 解析用マーカーは上下口唇正中, 左右口角に貼付し, 嚥下開始までの時間および咀嚼回数, 口唇の各マーカーの最大移動量を計測した. 【結果と考察】 ペースト食における条件下では, 捕食から嚥下までの時間は歯の捕食と比較して口唇捕食のほうが短かった. 一方, 口角の移動量は歯で捕食した場合に大きい値を示す傾向にあった. 固形食を摂取した場合の結果では, 嚥下までの咀嚼回数と捕食の形式との間に関連はみられなかった. 口角の移動量においては, 7名中6名で前歯咬断を行った場合のほうが大きい値を示した. 以上の結果から, 捕食から直接食塊形成がなされるペースト食では, 口唇で捕食を行うことで嚥下までの口唇・顎運動が効率的に営まれ, スムーズな嚥下を行う一因となると推察された, 一方, 固形食の場合は捕食の方法が変化しても咀嚼回数あるいは口唇・顎運動といった複数の要因によって補正されている可能性が示唆された. |
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ISSN: | 1343-8441 |