1-4-6 CTを用いた嚥下障害患者の食道入口部における喉頭と頸椎椎体位置関係の検討
【背景と目的】 嚥下障害患者における頸部回旋法は, 食塊の通過経路を限定することによって嚥下後咽頭残留を減少させ, 気管内誤嚥を予防する効果がある. しかし, 回旋角度が不十分でリクライニング座位角度との組み合わせが不適切であると, 誤嚥の危険性を高めることを本学会第8回学術大会で報告した. 今回は, 食道入口部における喉頭と頸椎椎体との位置関係に着目し, 嚥下障害患者の食塊通過経路に与える影響について検討した. 【対象】 嚥下造影検査(以下VF)を実施した123名の嚥下障害患者のうち, 入院中に肺CT検査を実施していた86名(男47名, 女39名, 年齢77.0±11.0歳, 疾患:脳梗塞2...
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Published in | 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 14; no. 3; pp. 340 - 341 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本摂食・嚥下リハビリテーション学会
2010
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ISSN | 1343-8441 |
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Summary: | 【背景と目的】 嚥下障害患者における頸部回旋法は, 食塊の通過経路を限定することによって嚥下後咽頭残留を減少させ, 気管内誤嚥を予防する効果がある. しかし, 回旋角度が不十分でリクライニング座位角度との組み合わせが不適切であると, 誤嚥の危険性を高めることを本学会第8回学術大会で報告した. 今回は, 食道入口部における喉頭と頸椎椎体との位置関係に着目し, 嚥下障害患者の食塊通過経路に与える影響について検討した. 【対象】 嚥下造影検査(以下VF)を実施した123名の嚥下障害患者のうち, 入院中に肺CT検査を実施していた86名(男47名, 女39名, 年齢77.0±11.0歳, 疾患:脳梗塞25名, 脳出血5名, TBI 4名, 肺炎15名, 廃用症候群24名, その他13名). 【方法】 1)肺CT画像による食道入口部レベルでの喉頭と頸椎椎体の位置関係の検討. 肺CT水平断画像のうち, 喉頭背側の輪状軟骨板が描出されるレベルにおいて, 喉頭の正中軸(水平断における前額線の中点を通る矢状線)と頸椎椎体の正中軸を計測した. CT画像における正中軸の計測には骨強調条件での画像を用いた. 頸椎椎体の正中軸を基準として食道入口部における喉頭の正中軸との偏移を測定し, 喉頭の最大横径(甲状軟骨間距離)との比率を算出して偏移率(%)とし, それを食道入口部における喉頭と頸椎椎体の位置関係の指標とした. 2)頸椎椎体・喉頭の正中軸の偏移率とVF画像を比較し, 食塊の通過経路並びに嚥下後咽頭残留との関係を検討した. 【結果】 1)喉頭正中軸の偏移率:偏移なし(偏移率5%未満)71例, 左方偏移9例, 右方偏移6例. 2)VF画像との関係:偏移率が大きい例では食塊通過経路の左右差が著しくなる傾向があり, 嚥下後咽頭残留にも影響を与えている可能性が示唆された. 【結語】 嚥下障害患者の食塊通過経路や嚥下後咽頭残留に食道入口部レベルでの喉頭と頸椎椎体との偏移が影響を与えている可能性が示唆され, CT画像の評価がその解析に有用であると考えられた. |
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ISSN: | 1343-8441 |