II-P5-8 疾患を受け入れられない患者への経口摂取アプローチの一例

【目的】当院では, 誤嚥性肺炎で入院した患者に対し嚥下リハビリテーションのアプローチを積極的に行っている. 今回, 入院当初より疾患の理解が得られず, リハビリへの介入を行えなかった一例を経験したのでここに報告する. 【症例】75歳男性, 誤嚥性肺炎, 肺気腫, 既往歴:誤嚥性肺炎, MK(全摘), 逆流性食道炎【経過】労作時の息切れ, 熱の上昇があり入院となる. SpO2にて酸素療法施行, PPN管理にて経過. 常に咽頭残留音聴取. 疾患の説明を行い, リハビリの同意を求めるが「何故, ご飯が出ない」「私は誤嚥をしていない, むせていない」と繰り返し同意は得られなかった. そこでNST介入の...

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Published in日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 13; no. 3; p. 541
Main Authors 柴崎忍, 根岸久美子, 阿部尚美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会 2009
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Summary:【目的】当院では, 誤嚥性肺炎で入院した患者に対し嚥下リハビリテーションのアプローチを積極的に行っている. 今回, 入院当初より疾患の理解が得られず, リハビリへの介入を行えなかった一例を経験したのでここに報告する. 【症例】75歳男性, 誤嚥性肺炎, 肺気腫, 既往歴:誤嚥性肺炎, MK(全摘), 逆流性食道炎【経過】労作時の息切れ, 熱の上昇があり入院となる. SpO2にて酸素療法施行, PPN管理にて経過. 常に咽頭残留音聴取. 疾患の説明を行い, リハビリの同意を求めるが「何故, ご飯が出ない」「私は誤嚥をしていない, むせていない」と繰り返し同意は得られなかった. そこでNST介入のもと嚥下困難という面からではなく, 食べやすいのもの提供という観点からアプローチを試みた. 問題点1, 明らかな嚥下障害がある. (常に咽頭残留, 排痰困難がある)そこで, 安全に食するための食事と説明し, 聞き取り調査, 食残チェックの中から食べやすい物, 食べにくい物の食材振り分けを行い, 出来る範囲内で提供できるよう試みた. 問題点2, 疾患の受け入れが出来ない. そこで, 「むせる」「誤嚥」禁止し, 言葉, 関わる看護師の統一を図った. 日々の観察は日常会話, 家族からの情報の提供, 客観的判断とした. 【結果】食事が開始となり, 禁止用語を言わないことで, イライラしている発言が減り, 聞き取り調査にも協力的となった. また, 本人なりに通過の良いもの, 悪い物を分けており実は嚥下困難を実感していたことが分かった. 【まとめ】食事を出さないということではなく, アプローチの方法を変えることで患者の理解が得られる可能性があることを学んだ. しかし患者自身, 疾患の受け入れは, 予後を左右する問題であり, いかに患者のニーズにあったアプローチを行うかが今後の大きな課題と言える.
ISSN:1343-8441