II-6-19 当院における嚥下に最適な食形態の検討(ゼリー食よりもとろみ食?)
【はじめに】当院は239床の療養型病院であり, 嚥下障害の評価の手段として2005年7月より嚥下造影を開始している. 通常, 嚥下訓練(特に開始時)においては, 食形態としてゼリー食が最も推奨されている. ところが, 当院の患者の実際のVF所見では, ゼリー食の所見よりもとろみ食の所見の方が良好である症例が多く見られている. この原因について分析し, 若干の考察を加えて報告する. 【対象と方法】2008年1月から12月の間にVFを実施した当院入院患者について, 各食形態(とろみ状, ゼリー状, きざみ食状, 液状)のVF所見について比較・検討を行った. 【結果】とろみ食を最適の食材とした症例が...
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Published in | 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 13; no. 3; p. 459 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本摂食・嚥下リハビリテーション学会
2009
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Summary: | 【はじめに】当院は239床の療養型病院であり, 嚥下障害の評価の手段として2005年7月より嚥下造影を開始している. 通常, 嚥下訓練(特に開始時)においては, 食形態としてゼリー食が最も推奨されている. ところが, 当院の患者の実際のVF所見では, ゼリー食の所見よりもとろみ食の所見の方が良好である症例が多く見られている. この原因について分析し, 若干の考察を加えて報告する. 【対象と方法】2008年1月から12月の間にVFを実施した当院入院患者について, 各食形態(とろみ状, ゼリー状, きざみ食状, 液状)のVF所見について比較・検討を行った. 【結果】とろみ食を最適の食材とした症例が最も多かった. 一方で, ゼリー食ではむしろ誤嚥を生じたり, 誤嚥には至らなくてもそのリスクが高いと判断される症例がいくつか見られた. ゼリー食を誤嚥するパターンは, 1)口腔保持不良のために早期咽頭流入したゼリーを誤嚥, 2)口腔相や咽頭相の延長により融解し液状化したゼリーを誤嚥の2パターンに分類された. 【考察】ゼリー食誤嚥をパターン別に分析すると, 1)はゼリーのスムーズな通過性がかえって早期咽頭流入を引き起こしていること, 2)嚥下反射に至るまでの時間が延長するために過剰なゼリー融解が生じていることが原因として考えられた. 一方とろみ食は, 適度な粘度があるために咽頭へゆっくり流入すること, 温度による融解がなく液状化が起こらないことから, ゼリー食よりも良好な所見が得られたと考えられた. 当院では経口摂取可能な患者は3割程度であり, 認知機能や口腔・咽頭の機能が不良である患者が多いため, ゼリーの特性がこれらの状況においてはむしろ不利になっていると考えられた. |
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ISSN: | 1343-8441 |