I-P2-9 摂食時の危険回避行動の評価―項目についての分析

【はじめに】摂食嚥下に関する研究で, 先行期に着目した報告は少ない. しかし臨床的観点から, 誤嚥の危険を回避するためには先行期の評価も重要であると思われる. 我々は, 摂食時の誤嚥の危険回避行動について評価項目を抽出(村雲ら, 2007), 誤嚥性肺炎との関連について報告(村雲ら, 2008)し, おおよその妥当性が示唆された. しかし, 個々の評価項目については検討の不十分な点があった. そこで本研究の目的は, 評価項目の妥当性について, 項目分析を行い, 項目を精選化および再考することとした. 【対象】改訂水飲みテストプロフィール3または4の摂食・嚥下障害高齢者13名(平均年齢82.3±...

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Published in日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 13; no. 3; p. 365
Main Authors 村雲聡江, 平井達也, 増田初美, 山下良子, 星野雅代, 鈴木由紀子, 梅木将史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会 2009
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Summary:【はじめに】摂食嚥下に関する研究で, 先行期に着目した報告は少ない. しかし臨床的観点から, 誤嚥の危険を回避するためには先行期の評価も重要であると思われる. 我々は, 摂食時の誤嚥の危険回避行動について評価項目を抽出(村雲ら, 2007), 誤嚥性肺炎との関連について報告(村雲ら, 2008)し, おおよその妥当性が示唆された. しかし, 個々の評価項目については検討の不十分な点があった. そこで本研究の目的は, 評価項目の妥当性について, 項目分析を行い, 項目を精選化および再考することとした. 【対象】改訂水飲みテストプロフィール3または4の摂食・嚥下障害高齢者13名(平均年齢82.3±9.0歳). 食事を自己摂取している者とした. 対象者または代諾者に本研究の趣旨を説明し, 同意を得た. 【方法】食事開始から終了までの摂食時の行動を観察, 先行研究で抽出された27項目について評価した. 観察は各対象者に対し3回ずつ行い, 評価は経験5年目のST1名が行った. 分析は, 対象者を誤嚥性肺炎の既往で, なし群:6名, あり群:7名に分け, 各項目で該当しなかったものを「危険回避行動」とし, 出現率を算出, 1)天井効果・床効果の認められる項目の検出, 2)主成分分析で主成分負荷量の低い項目の検出, 3)1)および2)より検出された項目を削除し, 項目全体での群間比較を行った(Mann-Whitney検定, p<0.05). 【結果】1)「とろみをつけると怒る」等6項目で両群に明らかな天井効果を認めた. 2)27項目について実施, 7成分が抽出された. 「口の中に物を入れて話す」等4項目で, すべての成分において低い負荷(0.5未満)であった. 3)10項目を削除し, 17項目全体で有意差を認めた(p<0.01). 【考察】項目の精選化により, 摂食時の誤嚥の危険回避行動の評価は17項目となった. 今後は, この評価が誤嚥性肺炎を予測する指標となり得るか, また介入方法を含め, さらに妥当性の検討を行っていく必要があると考える.
ISSN:1343-8441