I-P1-18 嚥下食ピラミッドに準じた段階的嚥下食とチーム医療により褥瘡が改善された1症例

【目的】嚥下食ピラミッドに準じた段階的嚥下食とチーム医療により褥瘡が改善された1症例について報告する. 【対象】75歳女性, 2009年1月褥瘡外来受診後, 褥瘡治療目的にて形成外科病棟入院, 現病歴:仙骨部褥瘡, 食欲不振, 既往歴:脊椎小脳変性症, 高血圧症. 【方法】病棟管理栄養士は褥瘡チームより治療と経過, 病棟看護師から身体状況, 言語聴覚士から嚥下訓練の報告を受け栄養投与法・食形態を検討した. 【結果】身体計測:身長131cm, 体重入院時36.3kg→退院時37.9kg, BMI21.1→22.0, 栄養状態:TP4.6g/dl→5.1g/dl, Alb1.8g/dl→2.4g/...

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Published in日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 13; no. 3; p. 358
Main Authors 梅本理園子, 三上明子, 小野由美, 大橋佐智子, 山本卓也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会 2009
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Summary:【目的】嚥下食ピラミッドに準じた段階的嚥下食とチーム医療により褥瘡が改善された1症例について報告する. 【対象】75歳女性, 2009年1月褥瘡外来受診後, 褥瘡治療目的にて形成外科病棟入院, 現病歴:仙骨部褥瘡, 食欲不振, 既往歴:脊椎小脳変性症, 高血圧症. 【方法】病棟管理栄養士は褥瘡チームより治療と経過, 病棟看護師から身体状況, 言語聴覚士から嚥下訓練の報告を受け栄養投与法・食形態を検討した. 【結果】身体計測:身長131cm, 体重入院時36.3kg→退院時37.9kg, BMI21.1→22.0, 栄養状態:TP4.6g/dl→5.1g/dl, Alb1.8g/dl→2.4g/dl, CRP5.4mg/dl→0.7mg/dl, RBP1.8mg/dl→2.6mg/dl, PA15.9mg/dl→18.0mg/dl, TF126mg/dl→124mg/dl, WBC79×102→68×102, TLC718.9mm3→1,557.2mm3, 食形態:入院前の食形態で咽頭残留音・ムセ・発熱・肺雑・SpO2の低下がみられた. 言語聴覚士が介入し改訂水のみテスト後, 嚥下食0より段階的にUPした. VE施行後, 可能な食形態は嚥下食2レベル1品と嚥下食3レベル1品のみの200kcalとなった. 不足栄養量を経腸栄養(経鼻胃管)より補ったが, 経腸栄養開始後に下痢と痰増加がみられ注入方法を固形化栄養へ変更した. 褥瘡治療のため経腸栄養投与時と嚥下訓練以外のギャッジアップは不可であり不顕性誤嚥予防のため胃瘻を増設. 褥瘡はDESIGN合計17点→9点と改善された. 【考察】2008年度脳外科入院は321名であり45.2%(145名)が75歳以上の後期高齢者であった. 嚥下障害専門医がいないため食形態の選択はコメディカルによって行われており, 安全で安定し栄養価の高い嚥下食が求められていた. 2008年嚥下食ピラミッド(金谷, 2004年)に準じ嚥下食を見直した結果, 嚥下食0~4の5段階を利用しより慎重に食形態のUPをすることができるようになった. 入院時, 嚥下障害や褥瘡がある場合早期に多職種が関わることで栄養投与方法の選択が可能となり低栄養改善へ導くことができると考えられた.
ISSN:1343-8441