I-2-8 摂食・嚥下外来における診断と治療の工夫―嚥下時産生音ならびに画像記録システムの利用

当科の平成20年度の摂食・嚥下障害を主訴とした外来初診患者数は236名で, 原疾患別では頭頸部腫瘍(50名), 精神発達遅滞(30名), 脳血管障害(17名), ダウン症(16名), 脳性麻痺(13名)などの順であった. 入院加療の場合は口腔清掃から機能訓練, 食事介助, 摂食指導, 栄養・水分摂取量の評価に至るまでのすべてを管理下で行え, VF検査, VE検査も必要に応じて行え, また患者の全身状態を頻回にモニターできるため代償法からの離脱をめざし食形態のアップや姿勢調節法の簡易化を積極的に進めることができるが, 外来患者では診療が終われば再チェックできない状況となるため, とくに不顕性誤嚥...

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Published in日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 13; no. 3; p. 289
Main Authors 高橋浩二, 宇山理紗, 綾野理加, 平野薫, 山下夕香里, 武井良子, 濱田浩美, 山川道代, 井原良明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会 2009
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Summary:当科の平成20年度の摂食・嚥下障害を主訴とした外来初診患者数は236名で, 原疾患別では頭頸部腫瘍(50名), 精神発達遅滞(30名), 脳血管障害(17名), ダウン症(16名), 脳性麻痺(13名)などの順であった. 入院加療の場合は口腔清掃から機能訓練, 食事介助, 摂食指導, 栄養・水分摂取量の評価に至るまでのすべてを管理下で行え, VF検査, VE検査も必要に応じて行え, また患者の全身状態を頻回にモニターできるため代償法からの離脱をめざし食形態のアップや姿勢調節法の簡易化を積極的に進めることができるが, 外来患者では診療が終われば再チェックできない状況となるため, とくに不顕性誤嚥症例では代償法からの離脱がスローダウンする傾向がある. 外来患者の摂食・嚥下治療を効率的に行うためには, 介護やリハ担当者に患者の病態とその対応法を正しく理解させる必要がある. また認知能力があり指示に従える患者の場合は患者本人にも病態とその対応法を正しく理解させることは訓練の動機付けの強化を図るためにも重要である. 当科では摂食・嚥下障害の病態と対応法を正しく理解させるため, VE, VF検査時には介護・リハ担当者を同席させ, 解説を加えながら行い, 検査終了後に患者も交え, 画像を供覧しながら病態の解説を再び行っている. さらに検査後の摂食・嚥下リハにおいて検査時の状況をより正確に再現できるようにVF, VE検査時の状況を全例ビデオ記録し, 検査中の摂食動作, 姿勢などが随時再確認できるシステムとしている. またVF, VE検査中の呼吸の状況を把握し, 検査後に行う摂食・嚥下リハの際に行う頸部聴診のリファレンス情報を得るためにVF, VE検査においては嚥下時産生音を検出し, 画像と音響信号を同時に記録している. これらの記録情報は必要に応じて当院のメディアセンターで加工され, 患者や介護, リハ担当者に提供される. 今回はわれわれのシステムを紹介する.
ISSN:1343-8441