I-P3-7 CT画像を用いた中咽頭の形態的特徴の評価

【緒言】摂食時における窒息事故のヒト側のリスク要因として, 食品が停留しやすいと推察される中咽頭の形態的特徴を知ることは, 窒息の原因分析を行う上で重要である. そこで我々は, 三次元造形システムにてCT画像より構築された資料を用いて, 安静時の中咽頭の形態的特徴の評価を目的に本研究を行った. 【対象と方法】口腔領域の疾病によりエックス線撮影を実施した者で, 本研究への資料提供に同意の得られた20代の若年者群7名と60~70代の高齢者群7名の14名を対象とした. 撮影には医科用エックス線CT装置および歯・顎顔面用コーンビームエックス線CT装置を用い, 撮影条件は臨床にて一般的に使用される条件と...

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Published in日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 12; no. 3; p. 340
Main Authors 石川健太郎, 山中麻美, 弘中祥司, 向井美惠
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会 2008
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ISSN1343-8441

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Summary:【緒言】摂食時における窒息事故のヒト側のリスク要因として, 食品が停留しやすいと推察される中咽頭の形態的特徴を知ることは, 窒息の原因分析を行う上で重要である. そこで我々は, 三次元造形システムにてCT画像より構築された資料を用いて, 安静時の中咽頭の形態的特徴の評価を目的に本研究を行った. 【対象と方法】口腔領域の疾病によりエックス線撮影を実施した者で, 本研究への資料提供に同意の得られた20代の若年者群7名と60~70代の高齢者群7名の14名を対象とした. 撮影には医科用エックス線CT装置および歯・顎顔面用コーンビームエックス線CT装置を用い, 撮影条件は臨床にて一般的に使用される条件とした. 得られた画像より三次元造形システムにて中咽頭部エアウェイの立体構築を行い, 中咽頭の上端および下端の形態的特徴について検討を行った. 【結果および考察】断面積では, 下端において若年郡と比較して高齢者群で有意に小さい値を示した(P<0.05). また, 若年群では6/7の割合で下端が大きい値を示したのに対し, 高齢群ではその割合が1/7であった. 長径/短径では, 若年群と高齢群との間でその形態的特徴に異なる傾向を示した. 上端および下端の面積比較が若年群と高齢群で異なる傾向を示すことから, 高齢者では面積の大きな上端を食塊が通過するものの, 下端では食塊が閉塞しやすい形態をしているものと考えられた. また, 下端における形態的特徴の違いは, 加齢による喉頭下垂に伴い, 咽頭腔の形態が変化した結果であると推察された. 【まとめ】近年増加傾向にある高齢者の食品による窒息事故においては, 摂食・嚥下機能の低下によるものだけでなく, 中咽頭の形態的特徴の変化がその要因の一つである可能性が示唆された. 本研究は平成19年度厚生労働科学特別研究事業および文部科学省ハイテク・リサーチ・センター整備事業(平成17年度~平成19年度)の助成によった.
ISSN:1343-8441