I-P3-2 頚部回旋位の角度と有効性についての検討 -第2報 内視鏡によるメカニズムの検討

【背景および目的】日本摂食・嚥下リハビリテーション学会(2006)にて, 頸部回旋は常に最大回旋位をとる必要がなく, 30度の角度から試みる価値があることを報告した. 今回, (1)頸部回旋が嚥下前の咽頭への食塊流入に与える影響, (2)頸部回旋が嚥下中の食塊の動きに与える影響を検討するために, 内視鏡により咀嚼嚥下, 命令嚥下時の(1)嚥下前の咽頭への食塊流入経路と(2)嚥下後の回旋側梨状窩の食塊通過の有無をバリウムの痕跡にて評価した. 【方法】対象は, 健常成人(男性3名, 女性7名, 平均年齢28.0±3.7歳)であった. 方法は50%硫酸バリウム液5ml(液体)を命令嚥下にて, 50%...

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Published in日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 12; no. 3; pp. 337 - 338
Main Authors 脇本仁奈, 小笠原正, 河瀬聡一朗, 竹内由里, 植松紳一郎, 川瀬ゆか, 松尾浩一郎, 藤井航, 馬場尊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会 2008
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Summary:【背景および目的】日本摂食・嚥下リハビリテーション学会(2006)にて, 頸部回旋は常に最大回旋位をとる必要がなく, 30度の角度から試みる価値があることを報告した. 今回, (1)頸部回旋が嚥下前の咽頭への食塊流入に与える影響, (2)頸部回旋が嚥下中の食塊の動きに与える影響を検討するために, 内視鏡により咀嚼嚥下, 命令嚥下時の(1)嚥下前の咽頭への食塊流入経路と(2)嚥下後の回旋側梨状窩の食塊通過の有無をバリウムの痕跡にて評価した. 【方法】対象は, 健常成人(男性3名, 女性7名, 平均年齢28.0±3.7歳)であった. 方法は50%硫酸バリウム液5ml(液体)を命令嚥下にて, 50%硫酸バリウム液5m1とコンビーフ4g(同時捕食)を咀嚼嚥下させた. データ採取は, 摂食・嚥下動態を内視鏡にて撮影しDVDに記録した. 頸部回旋角度は, 正面, 左右30度及び最大回旋位(max)の計5角度とした. 嚥下前通過側の評価は咀嚼嚥下では回旋側喉頭蓋谷で, 嚥下後の痕跡の評価は, 咀嚼嚥下および命令嚥下で, 回旋側梨状窩で行った. 【結果と考察】(1)嚥下前の回旋側への食塊流入は, 30度とmaxとでは差がなかったことから, 実際の摂食中における頸部回旋は30度程度でも有効である可能性が考えられた. (2)嚥下中の食塊の動きに与える影響として, 咀嚼嚥下では, 30度の頸部回旋から有意な効果が見られたが, 液体嚥下時では, 最大回旋により大きな効果が見られたことより, 咽頭を通過するときの食物の物性と量も頸部回旋効果に影響を及ぼしている可能性が考えられた. 以上から, 実際の摂食時には, 咀嚼するときと液体を飲むときで頸部回旋角度を変化させることで無理のない効率的な摂食・嚥下代償法が行えることが示唆された.
ISSN:1343-8441