I-P4-14 急性期脳卒中嚥下障害の退院後追跡調査(1)生存状況の検討

「目的」急性期脳卒中嚥下障害患者の生存と摂食状況について追跡調査した. 「対象」平成13年4月から平成18年3月にSTが嚥下訓練を施行した急性期脳卒中患者494名(平均年齢72歳, 男性308名・女性186名). 疾患は脳梗塞322名・脳出血172名, 初発330名・再発164名だった. 「方法」平成16年, 18年12月に生存と摂食状況, 経管種類について, 電話調査および入院患者についてはカルテにて調査を施行した(有効回答率88.8%). 死亡例は死因, 死亡日を聞き取り, 当院での死亡例はカルテで死亡状況を確認した. 退院時死亡30名, 追跡不能46名, 死亡日不明7名は退院時をエンドポ...

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Published in日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 11; no. 3; p. 293
Main Authors 尾崎健一, 小口和代, 藤本一恵, 保田祥代, 小島直子, 浅野智子, 柘植さやか, 稲本陽子, 才藤栄一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会 2007
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Summary:「目的」急性期脳卒中嚥下障害患者の生存と摂食状況について追跡調査した. 「対象」平成13年4月から平成18年3月にSTが嚥下訓練を施行した急性期脳卒中患者494名(平均年齢72歳, 男性308名・女性186名). 疾患は脳梗塞322名・脳出血172名, 初発330名・再発164名だった. 「方法」平成16年, 18年12月に生存と摂食状況, 経管種類について, 電話調査および入院患者についてはカルテにて調査を施行した(有効回答率88.8%). 死亡例は死因, 死亡日を聞き取り, 当院での死亡例はカルテで死亡状況を確認した. 退院時死亡30名, 追跡不能46名, 死亡日不明7名は退院時をエンドポイントとした. 「結果」(1)調査時までの平均発症後日数は約2年, 生存率は73%だった. 退院時の栄養摂取手段別生存率は経口83%, 経管49%であり, 経管は有意に生存率が低かった. 死亡例の平均死亡年齢は80歳(男性79歳・女性83歳)であり, 最も多い死因は肺炎だった. (2)対象者の性別年齢差に注目し, 年齢階級別に性別生存率を比較した. 性別では年齢以外に病型や初再発などのバックグラウンドに差はなかった. 75歳以上の退院時経管例では男性より女性の方が有意に生存率が高かった. (3)調査時生存者のうち経口は87%, 経管は13%だった. 退院時経管から経口に改善したものは20名(15%)だった. 調査時経管は経口よりも有意に高齢で, 在宅率が低かった. 経管生存者の平均年齢は80歳(男性76歳・女性84歳)と高齢であった. 「考察」3ヵ月時経管例の2年生存率は約50%であり, 経口例の生存率よりも低かった. 嚥下障害は生命予後を悪化させる. 一方, 高齢期を経管栄養で長期生存する例や急性期病院退院後に経管栄養から経口摂取可能となる例も存在した. 高齢化社会において療養病床や介護施設での摂食・嚥下障害のケアの充実は急務である.
ISSN:1343-8441