I-P4-11 回復期における集中的摂食・嚥下リハの対応~脳梗塞, 右側不全麻痺例について

「目的」当歯科病院では, 隣接する日本大学医学部駿河台病院から摂食機能障害患者の紹介を受け, 摂食・嚥下リハを展開している. リハビリテーションは, 早期から集中的な対応が求められるが, 人的, 設営的条件からそれが困難である事は稀ではない. 当院もその例に漏れず, 担当する人材が限られている環境であるが, 今回は歯科医, 歯科衛生士による集中的な摂食・嚥下リハの取り組みを行ったので報告する. 「対象と方法」左側前頭葉領域の脳梗塞にて, 当大学医学部病院に搬送された72歳, 男性で, 入院6日後に嚥下機能評価の依頼を受けた. 急性期・亜急性期(1期)を経て, 回復基調になった段階で主治医より2...

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Published in日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 11; no. 3; p. 291
Main Authors 中川量晴, 辻村恭憲, 赤塚澄子, 島村沙矢香, 角田由美, 濱口沙希, 植田耕一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会 2007
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Summary:「目的」当歯科病院では, 隣接する日本大学医学部駿河台病院から摂食機能障害患者の紹介を受け, 摂食・嚥下リハを展開している. リハビリテーションは, 早期から集中的な対応が求められるが, 人的, 設営的条件からそれが困難である事は稀ではない. 当院もその例に漏れず, 担当する人材が限られている環境であるが, 今回は歯科医, 歯科衛生士による集中的な摂食・嚥下リハの取り組みを行ったので報告する. 「対象と方法」左側前頭葉領域の脳梗塞にて, 当大学医学部病院に搬送された72歳, 男性で, 入院6日後に嚥下機能評価の依頼を受けた. 急性期・亜急性期(1期)を経て, 回復基調になった段階で主治医より2週間後の転院予定の提案があり(2期), そこから集中的なリハを開始した. 1期においてVF検査等を行い, 週2日の口腔ケア, 間接訓練, また心の緩和ケアにあたった. 2期に入って, 歯科医と歯科衛生士が交替制で週6日, 昼食時に一時間程の経口摂取訓練を開始した. 摂取時の姿勢, 一口量, 食形態, 摂取ペースなどを指導, 監視し, これを2週間継続した. 歯科医は『リハビリ指示書』にて指示内容等を記し, 歯科衛生士は『実施内容報告書』にて心身状態等を報告した. 「結果と考察」1期のVF結果において, 口腔期障害が主であり予後は良好と判断し, 摂食機能についても集中的にアプローチすることにより好結果が得られると思われた. 2期の当初, 昼食時の摂食機能訓練は約1時間を要したが, 2週間後には30分となり, 3食自立経口摂取となった. 回復期において, 経管を継続するか経口に移行するかのターニングポイントでは, 時間を惜しまない集中的な経口摂取訓練が必要であると認識させられた. 今後は限られたスタッフで嚥下リハの効果を上げる為に, 必要な集中的リハ適応の判別, 人材配置のシステム化, 集中的リハの手法の確立などが課題になると考えられた.
ISSN:1343-8441