I-P3-3 急性期から亜急性期にかけての摂食機能障害に対する歯科的対応

「はじめに」当院摂食機能療法科は, 隣接する日本大学医学部駿河台病院の救急救命科, 脳神経外科, 循環器科等から依頼をうけ急性期から回復期までの摂食嚥下リハビリテーションを実施している. 平成17年4月から平成18年3月まで医学部病院依頼患者の初診時の内訳は, 急性期9件, 回復期7件, 維持期43件, 終末期7件であった. 今回は増加傾向にある急性期患者に対する摂食機能療法の理念と手技を確立するために, 今後の指針となるべく1例を紹介する. 「方法」75歳男性 平成18年3月左脳梗塞を発症し, 当大学医学部病院に搬送され保存治療を受けた. 同年5月に肺炎および急性心不全発症, 呼吸管理状態と...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 11; no. 3; pp. 274 - 275
Main Authors 岩上朋代, 齋藤仁子, 人見涼露, 溝口尚子, 寺本浩平, 植田耕一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会 2007
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:「はじめに」当院摂食機能療法科は, 隣接する日本大学医学部駿河台病院の救急救命科, 脳神経外科, 循環器科等から依頼をうけ急性期から回復期までの摂食嚥下リハビリテーションを実施している. 平成17年4月から平成18年3月まで医学部病院依頼患者の初診時の内訳は, 急性期9件, 回復期7件, 維持期43件, 終末期7件であった. 今回は増加傾向にある急性期患者に対する摂食機能療法の理念と手技を確立するために, 今後の指針となるべく1例を紹介する. 「方法」75歳男性 平成18年3月左脳梗塞を発症し, 当大学医学部病院に搬送され保存治療を受けた. 同年5月に肺炎および急性心不全発症, 呼吸管理状態となり意識レベルは300-Aとなった. この時点で主治医より依頼を受け, 口腔ケアを開始した. 挿管対側からのアプローチによる口腔ケア, ならびに肩頚部リラクゼーションを週3日の割合で継続した. 亜急性期に搬送が可能となりVFを施行し, 直接訓練を開始した. 6月, 腸閉塞のため直接訓練を中止し, 棒つき飴玉を使用したlicking stimulaionを開始した. 7月腸閉塞治癒後, 直接訓練を再開し, 嚥下時の下顎位固定を目的とした上下顎義歯を作製した. 「結果および考察」7月に施行したVF(2回目)結果に伴い, 1日1食ミキサー食摂取を開始した. 9月, VF(3回目)施行し, 座位での自立摂取による食塊移送時間の短縮を認めたため, 3食普通食の自立摂取可能と診断した. 10月に経管離脱を達成し, 自宅退院となった. 急性期の口腔ケアの介入は肺炎再発予防に貢献し, 亜急性期におけるlicking stimulationは自発的舌運動の誘発, 嚥下運動の獲得, 意識状態の覚醒に, 義歯装着は嚥下時の下顎位固定に効果を示したと考えられる. 今後, 各手技の客観的評価法や病態時期に即したリハビリメニューを確立していきたいと思う.
ISSN:1343-8441