I-P1-3 急性期脳神経疾患における摂食・嚥下障害の問題点と対応
【目的】急性期からの摂食, 嚥下障害のリハビリテーションシステムの確立が求められているが急性期の現状や問題点についての報告は少ないため当院での急性期脳神経疾患患者の摂食, 嚥下障害の実態と問題点を調査し対応を検討した. 【対象】2004.4~2005.3にSTへ嚥下評価, 訓練依頼のあった急性期脳神経疾患患者108名, 平均年齢は64.0歳, 原疾患は脳梗塞54名, 脳出血25名, 脳腫瘍15名, SAH7名, その他7名. 発症からST依頼までの日数は中央値8日. 【結果】<ST開始からの重症度> 徐々に改善が認められ経口非自立群は初回時36%, 1ヶ月後21%であった. <...
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Published in | 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 9; no. 3; p. 325 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本摂食・嚥下リハビリテーション学会
2005
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ISSN | 1343-8441 |
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Summary: | 【目的】急性期からの摂食, 嚥下障害のリハビリテーションシステムの確立が求められているが急性期の現状や問題点についての報告は少ないため当院での急性期脳神経疾患患者の摂食, 嚥下障害の実態と問題点を調査し対応を検討した. 【対象】2004.4~2005.3にSTへ嚥下評価, 訓練依頼のあった急性期脳神経疾患患者108名, 平均年齢は64.0歳, 原疾患は脳梗塞54名, 脳出血25名, 脳腫瘍15名, SAH7名, その他7名. 発症からST依頼までの日数は中央値8日. 【結果】<ST開始からの重症度> 徐々に改善が認められ経口非自立群は初回時36%, 1ヶ月後21%であった. <年齢と重症度> ST1ヵ月後では若年ほど良好であった. <認知症と重症度> ST初回時, 1ヵ月後とも認知症有で経口非自立群が有意に多かった. <急性期の摂食, 嚥下障害の問題点と対応> 先行期障害は最も多彩な問題を呈し総数は口腔, 咽頭期障害と同数であった. 口腔, 咽頭期障害のうち「多量の分泌物の貯留」例は重症であった. また食道期以降の問題を持つ例も多く「胃食道逆流」6例, 胃もたれ感, 下痢等の症状を訴えた「消化管機能障害」9例が認められ改善度は不良であった. いずれもSTのみで対応できる例は限られ看護師や他のリハスタッフの協力や, 医師による諸問題の診断と治療が必要であった. 【考察】高齢, 認知症, 重度の機能障害では重症化しやすいと考えられた. また先行期障害についての報告は少ないものの今回の調査結果からは最も多彩な問題を呈し10項目もの問題点が挙げられ, 摂食, 摂食意欲, 摂食周辺の問題として分類し対応を検討した. その他, 食道期以降の障害も多数存在し支障となっている事が推測された. 急性期の対応としては医師, 看護師, リハスタッフの役割分担と協力体制が不可欠であると考えられた. |
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ISSN: | 1343-8441 |