II-P10-13 高速シネMRIによる嚥下運動の四次元描出

現在, 嚥下動態の描出には主として嚥下造影検査が用いられている. しかし, 嚥下造影検査では骨を中心とした二次元画像しか得られず, さらにX線被爆の観点から繰り返して撮影することは困難である. そこでわれわれは, 軟組織の描出にすぐれたMRIによる嚥下運動の描出法を検討し, 高速シネMRIに同期サンプリング法を応用することで, 舌運動の3次元動画像を構築が可能であることを報告した. 今回は嚥下運動時の舌と喉頭を4次元動画像として再構築し, 舌運動と喉頭閉鎖運動の進行を分析したので報告する. 対象は個性正常咬合を有する健常成人1名(25歳, 男性)である. MRI装置は島津-マルコーニMAGNE...

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Published in日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 8; no. 2; p. 304
Main Authors 齋藤浩人, 道脇幸博, 丹生かず代, 小澤素子, 齋藤真由, 鈴木規子, 大野康亮, 南雲正男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会 2004
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Summary:現在, 嚥下動態の描出には主として嚥下造影検査が用いられている. しかし, 嚥下造影検査では骨を中心とした二次元画像しか得られず, さらにX線被爆の観点から繰り返して撮影することは困難である. そこでわれわれは, 軟組織の描出にすぐれたMRIによる嚥下運動の描出法を検討し, 高速シネMRIに同期サンプリング法を応用することで, 舌運動の3次元動画像を構築が可能であることを報告した. 今回は嚥下運動時の舌と喉頭を4次元動画像として再構築し, 舌運動と喉頭閉鎖運動の進行を分析したので報告する. 対象は個性正常咬合を有する健常成人1名(25歳, 男性)である. MRI装置は島津-マルコーニMAGNEX ECLIPSE 1.5T Power Drive 250を使用した. 被験者はMRI装置内で仰臥位となり, 外部トリガーの信号に合わせて256回嚥下動作を繰り返した. スライス厚さは5mmとし, マルチスライス法を用いて正中矢状面とその左右11.25mm外側の矢状面の計8断面を11msの時間差で撮像し, 各断層面につき66msに1枚(15フレーム/秒)計35枚の連続画像を動画として再構築した. この条件で, 左右各4ヵ所の撮像を3次元動画像として再構築した. その間, 被験者(25歳, 男性)は, 外部トリガーの信号に合わせて256回嚥下動作を繰り返した. その結果, 口腔準備期より喉頭閉鎖終了までは1518msecであり, 喉頭挙上までは462msec, 喉頭閉鎖までは528msec, その264msec後に検査食は食道に流入し, 喉頭閉鎖が終了することが確認された. また舌背の陥凹時に声門の収縮が開始され, 喉頭挙上, 軟口蓋閉鎖とともに喉頭が閉鎖される像が得られた. 以上のことから高速シネMRIは, これまで不可能であった嚥下時の喉頭閉鎖運動を明確に描出することが可能であり, VF検査に比べてより詳細な観察が出来る有用な方法であることが確認された.
ISSN:1343-8441