I-P2-2 当科に入院した要介護痴呆患者への口腔ケアシステムの適用とその効果

【緒言】我々は簡易かつ安全に行える口腔ケアシステムを開発しその有用性についてこれまでに報告して来た. 今回, 誤嚥性肺炎が疑われ痴呆症を有する要介護患者に対して, 本システムによる口腔ケアを実施し効果を認めたのでその概要を報告する. 【対象, 方法】患者は66歳の男性で2003年10月精神科病院入院中に転倒下顎を強打, 下顎骨骨折の疑いで鹿児島大学病院口腔顎顔面外科に精査加療目的で受診, 入院した. 既往歴は1990年頃に脳出血を発症, その後痴呆症状が出現し, 粗暴行為, 尿便失禁を認めるため2003年7月上記の病院に入院し加療中であった. 【経過】X線にて下顎骨骨折を認めたが, 残存歯牙の...

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Published in日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 8; no. 2; p. 214
Main Authors 園田隆紹, 三村 保, 中村康典, 平原成浩, 宮脇昭彦, 五味暁憲, 角 保徳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会 2004
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Summary:【緒言】我々は簡易かつ安全に行える口腔ケアシステムを開発しその有用性についてこれまでに報告して来た. 今回, 誤嚥性肺炎が疑われ痴呆症を有する要介護患者に対して, 本システムによる口腔ケアを実施し効果を認めたのでその概要を報告する. 【対象, 方法】患者は66歳の男性で2003年10月精神科病院入院中に転倒下顎を強打, 下顎骨骨折の疑いで鹿児島大学病院口腔顎顔面外科に精査加療目的で受診, 入院した. 既往歴は1990年頃に脳出血を発症, その後痴呆症状が出現し, 粗暴行為, 尿便失禁を認めるため2003年7月上記の病院に入院し加療中であった. 【経過】X線にて下顎骨骨折を認めたが, 残存歯牙の動揺が著しく, 線副子による顎間固定が出来ないため, 頭帽装置にて固定した. 経口摂取は可能であったが, 摂食時には頻回の咳反射を認めた. 入院3日目から39度の発熱を認めたため誤嚥性肺炎を疑い化学療法を行うと共に, 口腔内衛生状態が不良であったため, 前述の口腔ケアシステムを開始した. ケア1週間後で歯垢指数, 歯肉炎指数の改善を認め, 以降CRP値の上昇や, 著明な熱発は認めなくなり, 口腔ケアの効果が示唆された.
ISSN:1343-8441