I-P1-6 摂食・嚥下障害者への米飯提供に関する検討

【目的】摂食, 嚥下障害者に対しては誤嚥の危険性などから米飯を食べることを禁じられている場合がある. しかし米飯は日本人の主食であり, 摂食, 嚥下障害者の中でも要望の多い食品のひとつである. そこで, 摂食, 嚥下障害者でも摂食可能な米飯を提供することを目的として研究を行っている. 今回は, 米飯物性と誤嚥との関連を検討したので報告する. 【対象と方法】対象は, NTT東日本伊豆病院で嚥下造影検査を行った摂食, 嚥下障害患者28名である. 嚥下造影の検査食は, 寒天製剤(イオアガー1)ならびに米飯(全粥ミキサー, 全粥, 軟飯, 常飯)に造影剤を加えて物性値を規定したものである. 造影検査の...

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Published in日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 8; no. 2; p. 208
Main Author 齋藤真由
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会 2004
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Summary:【目的】摂食, 嚥下障害者に対しては誤嚥の危険性などから米飯を食べることを禁じられている場合がある. しかし米飯は日本人の主食であり, 摂食, 嚥下障害者の中でも要望の多い食品のひとつである. そこで, 摂食, 嚥下障害者でも摂食可能な米飯を提供することを目的として研究を行っている. 今回は, 米飯物性と誤嚥との関連を検討したので報告する. 【対象と方法】対象は, NTT東日本伊豆病院で嚥下造影検査を行った摂食, 嚥下障害患者28名である. 嚥下造影の検査食は, 寒天製剤(イオアガー1)ならびに米飯(全粥ミキサー, 全粥, 軟飯, 常飯)に造影剤を加えて物性値を規定したものである. 造影検査の結果から, 検査食による誤嚥の有無や口腔内と咽頭部の残留について検討した. 【結果と考察】誤嚥と喉頭侵入の有無については, イオアガー1で誤嚥が6名認められたが, それ以外の検査食では誤嚥がみられなかった. 喉頭侵入ではイオアガー1で5名, 全粥ミキサーで1名認められたがそのほかの検査食では喉頭侵入が認められなかった. 検査食の残留に関しては口腔内(舌背)の残留はイオアガー1と常飯の間で有意に常飯の方が残留が多く, 咽頭部(喉頭蓋谷, 梨状陥凹)での残留は検査食間での差は認められなかった. 一方, 誤嚥と嚥下運動の関連としては, 誤嚥が認められた患者の多くが喉頭閉鎖不全によるものであった. イオアガー1と米飯検査食の物性のうち付着性を比較すると, 付着性が最も低いイオアガー1で誤嚥が6例, 喉頭侵入が5例観察され, イオアガー1と固形状の米飯検査食の中間の付着性を持つ全粥ミキサーで喉頭侵入が1例観察されたことから, 誤嚥は付着性の程度と関連している可能性が示唆された. 今後は, その他の要因として検査食の素材や形態(ゾル状, ゲル状), 硬さ, 温度, 咀嚼の有無についても検討する予定である.
ISSN:1343-8441