II-P1-8 摂食嚥下状況表作成・導入の試み -経口摂取への移行を円滑に進めるために
【はじめに】段階的な食事形態移行にあたり, 様々な状況変化によって進行の遅延や中止を余儀なくされることを経験する. 情報共有のために摂食嚥下状況表の作成と導入を行ったので1症例を通じ報告する. 【症例】75歳男性. パーキンソン氏病. 2002年11月29日, 外来通院途中に自宅玄関先で転倒, 救急搬送され入院となる, 以後, 症状の悪化を認め, 嘔吐, 吐気を繰り返し, 肺雑音も認められたため同年12月9日経菅栄養となった. 【評価】初期評価では氷片嚥下時に喉頭挙上不十分, 嚥下中~嚥下後にムセがみられた. 端坐位にて頭頸部の姿勢筋緊張亢進. また下顎引き込みと下制がみられた. 【経過】段階...
Saved in:
Published in | 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 7; no. 2; p. 227 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本摂食・嚥下リハビリテーション学会
2003
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 1343-8441 |
Cover
Summary: | 【はじめに】段階的な食事形態移行にあたり, 様々な状況変化によって進行の遅延や中止を余儀なくされることを経験する. 情報共有のために摂食嚥下状況表の作成と導入を行ったので1症例を通じ報告する. 【症例】75歳男性. パーキンソン氏病. 2002年11月29日, 外来通院途中に自宅玄関先で転倒, 救急搬送され入院となる, 以後, 症状の悪化を認め, 嘔吐, 吐気を繰り返し, 肺雑音も認められたため同年12月9日経菅栄養となった. 【評価】初期評価では氷片嚥下時に喉頭挙上不十分, 嚥下中~嚥下後にムセがみられた. 端坐位にて頭頸部の姿勢筋緊張亢進. また下顎引き込みと下制がみられた. 【経過】段階的摂食訓練を2002年12月24日ゼリーより開始. 症状の改善に伴い, Nsサイドでの施行を依頼したが十分な情報の共有とリスク管理が困難であった. 他職種間において評価, 記録, 閲覧可能な摂食嚥下状況表の必要を感じた. そこでSpO2値, 聴診, 肺脈, ムセの有無等の項目を選択し表を作成, 2003年1月22日より導入した. 以後, 他職種間の情報共有が図れ, 同年2月5日より3食経口訓練開始. 同年2月末には主食軟飯, 副食主に一口大となりほぼ入院前の摂食状態に改善した. 【考察】摂食嚥下状況表を用いることで他職種間の情報共有が可能となり, 段階的食事形態移行が円滑となった. 今後の課題として院内だけでなく地域との情報共有を図るためにこれらの経験と活用を試みたい. |
---|---|
ISSN: | 1343-8441 |