I-P4-5 著しい開咬を有する患者への義歯の効果

【目的】筋に起因する障害を有する患者は, 加齢とともに開咬状態を呈し, やがては大臼歯のみの摂食となり, 咀嚼能力の低下がみられる. そうした場合, きざみ食が与えられることが多く, 食べる楽しみが奪われていることになる. 今回我々は, 過度の開咬を呈している筋疾患患者に対して有歯顎上に義歯を装着させ, 咀嚼機能の回復がみられた症例を経験したので報告する. 【対象と方法】先天性多発性関節拘縮症患者1名および筋ジストロフィー患者2名であり知的障害はみられない. 初診時の口腔内所見では, 3例とも上顎第一大臼歯のみの咬合しており, 前歯部の中切歯間距離は10mm近い開咬を認めた. 有床義歯は咬合接...

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Published in日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 7; no. 2; pp. 209 - 210
Main Authors 岡田尚則, 吉永理, 川瀬ゆか, 小笠原正, 笠原浩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会 2003
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Summary:【目的】筋に起因する障害を有する患者は, 加齢とともに開咬状態を呈し, やがては大臼歯のみの摂食となり, 咀嚼能力の低下がみられる. そうした場合, きざみ食が与えられることが多く, 食べる楽しみが奪われていることになる. 今回我々は, 過度の開咬を呈している筋疾患患者に対して有歯顎上に義歯を装着させ, 咀嚼機能の回復がみられた症例を経験したので報告する. 【対象と方法】先天性多発性関節拘縮症患者1名および筋ジストロフィー患者2名であり知的障害はみられない. 初診時の口腔内所見では, 3例とも上顎第一大臼歯のみの咬合しており, 前歯部の中切歯間距離は10mm近い開咬を認めた. 有床義歯は咬合接触がみられない部位の有歯顎上に製作した. 調査は義歯末装着時と装着時の咬合機能検査(咬合接触面積, 平均咬合圧, 最大咬合圧および咬合力)と咀嚼能率検査(Manly)を用いた. 【結果】咬合接触面積, 咬合力および咀嚼機能検査などについて著しい上昇が認められた. そして使用前はきざみ食であったが, 現在では常食を摂取しており, 有床義歯を使いこなしている. 【考察】開咬がある場合, 知的障害がない者, もしくは軽度の知的障害者の咀嚼能力の改善には, 有歯顎上への義歯装着が臨床的価値が高いと考えられた.
ISSN:1343-8441