中咽頭癌術後嚥下障害に対する急性期の看護の検討

【はじめに】中咽頭癌で外科治療を受けた患者は, 正常組織の欠損, 遊離皮弁の移植に伴い, 重篤な嚥下障害をきたすことが多い. 早期にリハビリテーションを開始するためには, 術後急性期から嚥下障害を視野に入れた看護が必要とされる. そのための看護を検討した. 【症例】73歳男性. 中咽頭癌(右側壁, 舌根)T3M0N0の診断で, (1)中咽頭切除(右側壁全切除, 右舌根1/3, 右上壁1/3切除), (2)舌部分切除, (3)遊離服直筋皮弁による再建, (4)下顎骨離断, (5)右上中深頸部郭清, を外科的治療として行い, 一時的に気管切開がなされた. 【病態に基づくアセスメントと急性期における...

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Published in日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 1999; no. suppl; p. 129
Main Authors 浅田美江, 浜野真弓, 深田順子, 鎌倉やよい
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会 1999
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ISSN1343-8441

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Summary:【はじめに】中咽頭癌で外科治療を受けた患者は, 正常組織の欠損, 遊離皮弁の移植に伴い, 重篤な嚥下障害をきたすことが多い. 早期にリハビリテーションを開始するためには, 術後急性期から嚥下障害を視野に入れた看護が必要とされる. そのための看護を検討した. 【症例】73歳男性. 中咽頭癌(右側壁, 舌根)T3M0N0の診断で, (1)中咽頭切除(右側壁全切除, 右舌根1/3, 右上壁1/3切除), (2)舌部分切除, (3)遊離服直筋皮弁による再建, (4)下顎骨離断, (5)右上中深頸部郭清, を外科的治療として行い, 一時的に気管切開がなされた. 【病態に基づくアセスメントと急性期における看護計画】 1)遊離皮弁が生着し, 縫合不全を起こさない. 遊離皮弁の血流は, 血管吻合により得られた栄養血管のみにより保たれている. さらにこの症例はリウマチの既往がありステロイドを常用していたことから, 感染を起こしやすい状況にあることが考えられる. 援助としては皮弁の血流状態の観察を行うと共に, 血管吻合部の安静を保つための頸部の安静保持と体位の工夫, 創部の感染予防のための口腔内清潔を行う. 2)嚥下障害による誤嚥性肺炎を予防する.
ISSN:1343-8441