一般病院における脳卒中早期嚥下訓練食から多種嚥下訓練食(慢性期重度嚥下訓練食)への見直し

【目的】高齢者や脳卒中慢性期の患者の増加に合わせ, 従来の早期嚥下訓練食を重度嚥下障害者用の食事に細分化する. 【方法】病棟からのアプローチをきっかけに, 栄養課に嚥下グループを作った. リハビリ病棟の嚥下障害患者を対象に多職種チームでの学習会を行い, 嚥下訓練食の現状と改善点を検討した. この中で栄養課とリハビリ病棟チームとの間に嚥下訓練食に対しての考えに, いくつかズレがあることが判った. 問題点として, 1. 嚥下訓練食にばらつきがある. ヨーグルト, 温泉卵など粘膜付着性のある物は向いていない. 2. 嚥下訓練食に甘い物が多くバリエーションが少ない為, 患者が飽きて食べなくなってしまう...

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Published in日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 1999; no. suppl; p. 116
Main Authors 硲さとみ, 清水勝義, 片桐学, 小野寺雄二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会 1999
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ISSN1343-8441

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Summary:【目的】高齢者や脳卒中慢性期の患者の増加に合わせ, 従来の早期嚥下訓練食を重度嚥下障害者用の食事に細分化する. 【方法】病棟からのアプローチをきっかけに, 栄養課に嚥下グループを作った. リハビリ病棟の嚥下障害患者を対象に多職種チームでの学習会を行い, 嚥下訓練食の現状と改善点を検討した. この中で栄養課とリハビリ病棟チームとの間に嚥下訓練食に対しての考えに, いくつかズレがあることが判った. 問題点として, 1. 嚥下訓練食にばらつきがある. ヨーグルト, 温泉卵など粘膜付着性のある物は向いていない. 2. 嚥下訓練食に甘い物が多くバリエーションが少ない為, 患者が飽きて食べなくなってしまう. 更に病棟チームからは, ゼリー食のみで摂取カロリーを維持し, 在宅療養させたい患者のメニューを検討して欲しいといういう要望が出された. その後, 何度か病棟チームと栄養課のグループ間で話し合い, 重度嚥下障害者向けのゼリー食を, 患者も交えて試食を行っていった. そして, 嚥下訓練食は患者の状態に合わせると, おおよそ3段階になる事が解った. I開始食:透明度の高い1.5%濃度ゼラチンゼリー, 甘い物と甘くない物の一食2種類 II段階食:開始食に, ざらついた触感のあるゼリーを加える, 嚥下用市販ゼリーとで一食3種類(嚥下能力, 喫食量の向上) III段階食:さらに触感の変化を加えて開始食にタピオカを加えたゼリーと嚥下用市販ゼリーとで一食3種類 【結果】 1. 重度嚥下障害者ではゼリー食の微妙な差が誤嚥を招くことが再認識できた. 2. 嚥下訓練食を嚥下障害に応じた3段階に分けた. 3. 嚥下訓練食だけで十分, 在宅療養ができる. 【考察】 今回, リハビリ病棟チームと栄養課グループ間で嚥下障害者に対する嚥下訓練食の内容について検討を行った. この中で食事の重要さと, それに加え危険性が再認識できた. 重度嚥下障害者に対する嚥下訓練食について, 厳密な晶質管理で調理し, 今後もリハビリ病棟チームと共に取り組み更に改善して行きたい.
ISSN:1343-8441