連載第4回 中枢神経障害に関する基礎的研究の動向と臨床への応用

「中枢神経疾患に対する理学療法のターゲット」 脳卒中や脊髄損傷など中枢神経疾患は, 古くから理学療法の対象疾患とされてきた. そして, 理学療法が多くの患者様のリハビリテーションや予防に寄与してきたことは周知の事実である. しかし, そもそも中枢神経疾患に対する理学療法の果たす目的を議論する場合, 治療のターゲットを具体的に示す必要があると考えられる. まず大きな区分で考えると, 活動参加レベルの改善に直接つながるアプローチを展開するのか, あるいは, 機能構造レベルの改善を求めるのかにより, 理学療法は本質的に異なる内容となる. この両者を統合した形で, 患者様の機能を高めて日常生活活動の自...

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Published in理学療法学 Vol. 46; no. 1; pp. 59 - 64
Main Author 石田和人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本理学療法士協会 2019
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ISSN0289-3770

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Summary:「中枢神経疾患に対する理学療法のターゲット」 脳卒中や脊髄損傷など中枢神経疾患は, 古くから理学療法の対象疾患とされてきた. そして, 理学療法が多くの患者様のリハビリテーションや予防に寄与してきたことは周知の事実である. しかし, そもそも中枢神経疾患に対する理学療法の果たす目的を議論する場合, 治療のターゲットを具体的に示す必要があると考えられる. まず大きな区分で考えると, 活動参加レベルの改善に直接つながるアプローチを展開するのか, あるいは, 機能構造レベルの改善を求めるのかにより, 理学療法は本質的に異なる内容となる. この両者を統合した形で, 患者様の機能を高めて日常生活活動の自立につなげることが求められるのは当然である. ただ, 理学療法の治療効果や意義を考えるうえで, やはりこの両者を明確に分けて論ずる必要があるものと考えられる. ここでは中枢神経疾患の基礎的研究について論ずる前に, その立場について確認しておきたい.
ISSN:0289-3770