連載第3回 変形性関節症に関する基礎的研究の動向と臨床への応用

「はじめに」 変形性関節症(osteoarthritis:以下, OA)は理学療法士が臨床で多く出会う疾患のひとつである. 進行期または末期のOAには人工関節置換術が適応となり, 日本では人工膝関節置換術が年間8万件を超え, 世界的には年間150万件にも及ぶ. この件数は次の10年で4~6倍にも増えることが予想されており, 社会的にも経済的にも大きな課題を抱えている. 長年OAの治療として, 疾患修飾治療薬(Disease-Modifying Osteoarthritis Drugs:以下, DMOADs)が精力的に開発されているが, 未だ対症療法に留まっているのが現状である. その原因として...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in理学療法学 Vol. 45; no. 6; pp. 410 - 416
Main Authors 南角学, 伊藤明良
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本理学療法士協会 2018
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:「はじめに」 変形性関節症(osteoarthritis:以下, OA)は理学療法士が臨床で多く出会う疾患のひとつである. 進行期または末期のOAには人工関節置換術が適応となり, 日本では人工膝関節置換術が年間8万件を超え, 世界的には年間150万件にも及ぶ. この件数は次の10年で4~6倍にも増えることが予想されており, 社会的にも経済的にも大きな課題を抱えている. 長年OAの治療として, 疾患修飾治療薬(Disease-Modifying Osteoarthritis Drugs:以下, DMOADs)が精力的に開発されているが, 未だ対症療法に留まっているのが現状である. その原因として, OAの発症要因や病態が多様であることや, 詳細な病態進行のメカニズムが明らかにされておらず, いつなにをターゲットとしてコントロールすべきか不明なことが挙げられる. 理学療法学分野においても, OAに対して多くの試みがなされているが, 疾患修飾作用を有するかどうかについては明らかにされていない.
ISSN:0289-3770