当通所リハビリテーションにおける個別リハビリテーションの効果と利用者のニーズに関する調査

今年の介護報酬の改定によって, 新たに個別リハ加算と実施計画書の作成が導入され, 個別における評価訓練の重要性が強調されている. この様な状況の中で, 当施設においても自立支援を目的に通所リハビリテーション(以下, 通所リハ)を展開し, 約一年が経過した. そこで今回, 個別リハビリテーション(以下, 個別リハ)の効果とともに満足度を調査し, 若干の知見を得たので報告する. 利用時間は3~4時間で頻度は週1回~2回となっている. 内容は運動を中心に, 個々に応じたADL訓練を展開し, 主に自立支援に向けアプローチをしている. また月1回機能能力評価を実施し, 結果をフィードバックしている. 当...

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Published in理学療法学 Vol. 31; no. suppl-2.2; p. 354
Main Authors 加納宏美, 長谷志乃, 川渕正敬, 小笠原正
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本理学療法士協会 2004
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Summary:今年の介護報酬の改定によって, 新たに個別リハ加算と実施計画書の作成が導入され, 個別における評価訓練の重要性が強調されている. この様な状況の中で, 当施設においても自立支援を目的に通所リハビリテーション(以下, 通所リハ)を展開し, 約一年が経過した. そこで今回, 個別リハビリテーション(以下, 個別リハ)の効果とともに満足度を調査し, 若干の知見を得たので報告する. 利用時間は3~4時間で頻度は週1回~2回となっている. 内容は運動を中心に, 個々に応じたADL訓練を展開し, 主に自立支援に向けアプローチをしている. また月1回機能能力評価を実施し, 結果をフィードバックしている. 当通所リハを利用し1年以上経過した利用者90名. 平均年齢は66.9±10.4ある. 要介護度は要支援:12名, 要介護1:44名, 要介護2:24名, 要介護3:4名, 要介護4:5名, 要介護5:1名である. 通所リハ開始時と1年経過時点での理学療法評価(握力, 膝伸展筋力, 片脚立位時間, Functional reach, 10m所要時間, Timed upandgo, 2分間歩行距離)について比較するとともに, アンケート調査(身体面精神面の変化, 満足度, 趣味の有無, 当施設への希望)を実施した. 理学療法評価ではFunctional reach2分間歩行距離以外の項目で有意に向上を認めた. アンケートでは, 身体的に向上したと答えた者が40%, 精神面に変化がみられた者が39%であった. 身体面では歩き易くなったということや, 精神面では同じ立場の人が多いことで安心し張り合いがでるとの回答が多かった. 利用内容においては76%が満足していると答えた一方, 不満と答えた者は23%で, その理由としては関節可動域訓練の頻度に関する不満であった. 趣味があると答えた者は40%で, 比較的若い年齢相に多かった. 当施設への希望は「分からない」と答えた者が大半を占め, 少数ではあるが社会制度の情報収集をしたいという意見が聞かれた. 今回の結果から, 個別プランの作成と個別リハを開始した事により機能能力の維持と向上を認め, 身体的精神的な変化を実感されて, 効果があったと思われる. しかしその半面では機能に固執し, その他へ目を向けていない傾向にあると思う. 現在の当通所リハでは, 施設内という狭い範囲内でのアプローチにとどまっており, 利用者が社会へ目を向けられるように, スタッフもまた地域へ足を運び, より具体的な地域の情報収集, サービスの充実及びネットワークの確立を積極的に行うことが今後の課題である. 現在若干名ではあるが利用者を中心に, 障害者が利用可能なサービス等の情報収集を行う取り組みが始まり, 積極的な社会参加への一歩を踏み出しつつある.
ISSN:0289-3770