241 ウェイトトレーニングマシンを用いた脚伸展動作の筋活動の検討-リカンベントスクワットマシンとホリゾンタルレッグプレスマシンの比較
スクワット動作は, 荷重位での脚伸展筋力トレーニングとして広く用いられている. 近年は脚伸展筋力強化のためにウェイトトレーニングマシン(以下マシン)が用いられることも多くなってきている. マシンは座位で行うため運動が安定し転倒の危険が少なく, 負荷量が明確で調節も容易なため適切な漸増負荷を用いることができるなどのメリットがある. スクワット動作の筋活動の報告は見られるものの, マシンを用いた場合の報告は少ない. 目的にあったトレーニングをするためには筋活動の相違を知ることは重要である. 本研究では, 脚伸展動作を行う2種類のマシンとスクワット動作を用いて各種目の筋活動の相違について検討した....
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Published in | 理学療法学 Vol. 31; no. suppl-2.1; p. 121 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本理学療法士協会
2004
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Summary: | スクワット動作は, 荷重位での脚伸展筋力トレーニングとして広く用いられている. 近年は脚伸展筋力強化のためにウェイトトレーニングマシン(以下マシン)が用いられることも多くなってきている. マシンは座位で行うため運動が安定し転倒の危険が少なく, 負荷量が明確で調節も容易なため適切な漸増負荷を用いることができるなどのメリットがある. スクワット動作の筋活動の報告は見られるものの, マシンを用いた場合の報告は少ない. 目的にあったトレーニングをするためには筋活動の相違を知ることは重要である. 本研究では, 脚伸展動作を行う2種類のマシンとスクワット動作を用いて各種目の筋活動の相違について検討した. 神経学的および整形外科的疾患を有さない健常成人22名(男性10名, 女性12名, 平均年齢21.7±1.7歳)を対象とした. 測定した動作は, リカンベントスクワット(以下リカンベント)とホリゾンタルレッグプレス(以下プレス)を用いた脚伸展動作およびスクワット動作(以下スクワット)の3種目であった. いずれの動作も膝関節を90度屈曲させた肢位から膝関節を0度まで伸展させ再び90度に戻すまでを1施行とし各5施行ずつ行った. マシンの負荷量は自重に近い値とした. 筋電図の測定は内側広筋, 外側広筋, 大腿直筋, 大腿二頭筋, 大殿筋, 腹直筋, 脊柱起立筋の7筋とした. 筋電図は, 徒手筋力検査の肢位で行った最大筋収縮時の筋活動量を基に正規化した. また, 被験者の膝関節に電気角度計を装着し膝関節角度を筋電図と同期させて記録した. 各種目における最大筋活動量の差異を1元配置の分散分析と多重比較を用いて解析した. 膝関節屈曲角度の変化(30度毎)に伴う各筋の活動パターンの差異を2元配置の分散分析を用いて検討した. 有意水準は危険率5%未満とした. 種目別に各筋の筋活動量を比較した結果, 大腿二頭筋と大殿筋はリカンベントが他の2種目より有意に高値を示し(p<. 01), 脊柱起立筋はプレスが他の2種目に比べ有意に低値を示した(p<. 01). 種目ごとに各筋の筋活動パターンを解析した結果, 腹直筋以外の筋で種目と膝関節角度の交互作用が認められ, 種目ごとに膝関節屈曲角度の変化に伴う筋活動パターンに差があることが示された(p<. 01). 脚伸展動作は多関節多筋連鎖の動作であるため, マシンごとの運動方向の違いが肢位や関節モーメントの違いをもたらし, 各筋の活動量に影響すると考えられる. マシンを使った脚伸展動作において, リカンベントで大腿二頭筋や大殿筋などの身体後面の筋活動量が増加するなど, 筋活動に差異があることがわかった. 膝伸展時に大腿二頭筋の活動が高まることは膝関節の安定性をもたらすなどのメリットが考えられる. これらマシンの筋活動の違いを把握した上で, 運動処方の目的に合った適切な種目が選択されなければならないと考えられる. |
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ISSN: | 0289-3770 |