脳卒中患者における入院2週間目の能力について
【はじめに】急性期における早期リハビリテーション(以下, リハ)の意義は, ADL自立に向けた廃用症候群の予防と早期離床にある. 理学療法士(PT)は効率的・効果的なリハの提供に向け, 早期リハの質をさらに充実する必要があると思われる. そこで今回, 入院から2週間経過した患者の状態像を把握し, 今後の急性期リハのあり方について検討したので報告する. 【対象】平成9年10月から平成10年3月までに当院に救急搬入された脳卒中患者83名の内, クモ膜下出血, 2週間以内の死亡者・退院者を除いた44名(男性22名, 女性22名)を対象とした. 平均年齢;66.7±9.2歳. 疾患内訳;脳内出血24名...
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Published in | 理学療法学 Vol. 26; no. suppl-1; p. 81 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本理学療法士協会
1999
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ISSN | 0289-3770 |
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Summary: | 【はじめに】急性期における早期リハビリテーション(以下, リハ)の意義は, ADL自立に向けた廃用症候群の予防と早期離床にある. 理学療法士(PT)は効率的・効果的なリハの提供に向け, 早期リハの質をさらに充実する必要があると思われる. そこで今回, 入院から2週間経過した患者の状態像を把握し, 今後の急性期リハのあり方について検討したので報告する. 【対象】平成9年10月から平成10年3月までに当院に救急搬入された脳卒中患者83名の内, クモ膜下出血, 2週間以内の死亡者・退院者を除いた44名(男性22名, 女性22名)を対象とした. 平均年齢;66.7±9.2歳. 疾患内訳;脳内出血24名, 脳梗塞20名. 対象者の平均在院日数は42.5±22.5日で, 自宅退院9名, 転院35名であった. 【方法】対象者の入院から2週後における, 食事, 排泄, 起居・移動動作能力, 転帰等について, カルテより調査した. 能力については自立(以下, 自立者)・監視・部分介助・全介助の4ランクに分け, 自立群以外を要介助者とした. 【結果】1.起居・移動動作(1)自立度:2週後の起居動作の自立者は12名27%, 要介助者は32名73%であった. 次ぎに, 移動動作では自立者5名11%, 要介助者39名89%であり, 要介助者の内べッド上安静にある者は9名であった. (2)移動手段:2週後では車椅子21名が最も多く, また介助歩行は9名であった. 2.食事・排泄行為(1)食事:2週後の自立者は17名38%, 要介助者は25名57%であった. 次ぎに, 行為の場が車椅子あるいは端坐位の場合は, 自立者17名の内16名, 要介助者25名の内11名であった. (2)排泄:2週後は自立者7名16%, 要介助者37名84%であった. 尿意に関してはある者23名・ない者10名・不明11名であった. 次に, 行為の場で見ると, 自立者は全て病棟トイレで行われ, 要介助者はカテーテル留置・おむつなどベッド上の者が18名と多く, 離床している者は9名と少なかった. 3.移動動作と食事・排泄行為との関係 2週後の移動自立者5名は食事・排泄ともに自立していた. 要介助者39名を食事・排泄でみてみると, 食事の自立者9名・要介助者30名, 排泄の自立者2名・要介助者37名であった. 【考察】今回の結果から, 急性期における患者能力は, 移動に73%, 食事に57%, 排泄に84%が介助を要する現状が明らかになった. 特に食事・排泄行為は遂行の場も包含したQOLの要因を付加した取り組みが重要と思われる. それにはリスク管理, 行為の頻度, 介助自体の質・量に対する十分な配慮が必要となる. 今後, 急性期患者への理学療法として, 1)PTは病棟訓練に重点を置いた食事・排泄行為への支援を目的とし, 2)PTと看護婦との目標共有・役割分担を的確に行い, 3)移動動作自立に向けた身体的・環境的アプローチが重要と考える. |
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ISSN: | 0289-3770 |