慢性関節リウマチ患者に用いた足底挿板が足底分圧に与える影響
【はじめに】慢性関節リウマチ(以下, RA)患者の足部痛に対して, 足底挿板(以下, SI)を用いて治療することがあるが, 直接歩行時の足底圧を測定し, 評価した報告は少ない. 今回, RA患者に用いたSIが足底分圧に与える影響を, 動的足底圧測定システム(F-SCAN;以下FS)を用いて検討した. 【対象と方法】通院中のRA患者でSteinbrockerのClassII, 歩行時に足部痛があるもので, SIを作成し疼痛の消失した12例24肢(女性12名, 平均年齢50歳)を対象とした. 方法は歩行時, SIの有り, 無しでFSを用い, (1)足底圧分布, (2)作用点軌跡, (3)鉛直分力の...
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Published in | 理学療法学 Vol. 26; no. suppl-1; p. 71 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本理学療法士協会
1999
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ISSN | 0289-3770 |
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Summary: | 【はじめに】慢性関節リウマチ(以下, RA)患者の足部痛に対して, 足底挿板(以下, SI)を用いて治療することがあるが, 直接歩行時の足底圧を測定し, 評価した報告は少ない. 今回, RA患者に用いたSIが足底分圧に与える影響を, 動的足底圧測定システム(F-SCAN;以下FS)を用いて検討した. 【対象と方法】通院中のRA患者でSteinbrockerのClassII, 歩行時に足部痛があるもので, SIを作成し疼痛の消失した12例24肢(女性12名, 平均年齢50歳)を対象とした. 方法は歩行時, SIの有り, 無しでFSを用い, (1)足底圧分布, (2)作用点軌跡, (3)鉛直分力の測定を行った. 尚, FSの測定値の正確を期すため, 床反力(Kistler 9281B)を同時に測定し, FSの結果を補正した. 【結果】(1)足底圧分布の比較においてSI使用前は足底圧の集中, 足底圧分布の減少を認めたのに対し, SI使用後は圧集中の減少, 分散化が見られた. (2)作用点軌跡の比較では, SI使用前において比較的正常に近い, 緩やかなカーブが見られるが前足部の圧の集中部での作用点軌跡が消失した. SI使用後においては, 足底のほぼ中心を通り直線的な軌跡をたどる傾向があった. (3)鉛直分力の比較では, 有意な変化は認められなかった. 【考察】FSは計測の正確を期すため床反力による補正が必要であることを先行研究により明らかにしており, 今回の実験でも床反力と同時にFSの測定を行った. SIは患者の足底部の形状と変形を考慮し, 内外側, 横アーチの保持, 足底全体の衝撃の吸収を考え作成した. SIの使用により足底の疼痛が消失し, 歩容が改善したが, 今回の測定結果として, 体重の分散面積が拡散し, 圧の集中を減少させることが確認できた. また作用点軌跡においては正常な軌跡に近づくのではなく, 新しい作用点軌跡を構築した. すなわち, 一般的に作用点軌跡は, 踵部より外側にのび前足部より母趾方向に移動するが, SIを使用することで足部のほぼ中央を真っ直ぐに前足部へと向かうようになった. |
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ISSN: | 0289-3770 |