段差乗越え歩行車の試作

最近, 社会的にはバリアフリーが推進されつつあるが, 日本家屋には未だ多くの段差が存在する. そのため歩行車は在宅での移動手段として十分に普及されていない. 今回, 敷居などの段差にも対応し, 自宅でも使用可能な歩行車を試作したので紹介する. 「構造・段差乗越え機構」フレームにはヤザキのイレクターを使用し, 肘受けパッドとグリップを取り付けた. 当歩行車の特徴は, Aの片側4輪, B, Cの片側2輪(計6輪)の構造とその機構にある. Aの位置には回転軸より伸びた4本のアームとその先端に固定輪が取り付けられている. AとCの中間点を基準としたBの位置にも車輪を設け, その支柱はバネとストッパーに...

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Published in理学療法学 Vol. 25; no. suppl-2; p. 271
Main Authors 尾崎英明, 玉谷良一, 野見山拓也, 三原和行, 久保宏記, 古澤一成, 三石敬之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本理学療法士協会 1998
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Summary:最近, 社会的にはバリアフリーが推進されつつあるが, 日本家屋には未だ多くの段差が存在する. そのため歩行車は在宅での移動手段として十分に普及されていない. 今回, 敷居などの段差にも対応し, 自宅でも使用可能な歩行車を試作したので紹介する. 「構造・段差乗越え機構」フレームにはヤザキのイレクターを使用し, 肘受けパッドとグリップを取り付けた. 当歩行車の特徴は, Aの片側4輪, B, Cの片側2輪(計6輪)の構造とその機構にある. Aの位置には回転軸より伸びた4本のアームとその先端に固定輪が取り付けられている. AとCの中間点を基準としたBの位置にも車輪を設け, その支柱はバネとストッパーにより一定のオフセット角を付けている. Cの車輪はバネにより最大で35mmの沈み込み機構を有した自在輪とした. 通常の平地歩行時は主にA輪とB輪で支持し移動する. A輪が段差に当たった時点で使用者がやや後方へ重心を移動すると, B輪を支点としたシーソーの原理でC輪が沈み込み, 同時にA輪が挙上する. さらに歩行車を前方に進ませることでA輪が回転しながら段差を乗越える. その後は重心を通常の位置へ戻し前方へ進む. B輪は段差により後方へ押し上げられ, 乗越えの際も障害とならず, その後はばねの力でもとの位置に戻る.
ISSN:0289-3770