植物状態患者に対する外出訓練の試み

千葉療護センターは, 自動車事故による脳損傷で重度後遺障害が残存し植物状態にある患者の, 適切な治療と看護を目的とした病院である. PT訓練は, 長期臥床や重篤な運動障害に対して治療・適応アプローチだけでなく, 様々な刺激を与え環境の調整を行うなかで, 愚者の出しうるわずかな変化を捉えて, コミュニケーションの確立を目指している. しかしながら, センター内の生活だけでは与えられる刺激も限られ, また, 長期入院のための慣れも加わり反応が乏しくなりやすい. 今回, 日常的な行動である「外出」を植物状態患者の訓練プログラムに加えて, 異なる環境刺激を提供し, 共通体験をもつなかで反応の観察を試み...

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Published in理学療法学 Vol. 24; no. suppl-2; p. 10
Main Authors 萩原千春, 小林球記, 葛田衣重, 河野守正
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本理学療法士協会 1997
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ISSN0289-3770

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Summary:千葉療護センターは, 自動車事故による脳損傷で重度後遺障害が残存し植物状態にある患者の, 適切な治療と看護を目的とした病院である. PT訓練は, 長期臥床や重篤な運動障害に対して治療・適応アプローチだけでなく, 様々な刺激を与え環境の調整を行うなかで, 愚者の出しうるわずかな変化を捉えて, コミュニケーションの確立を目指している. しかしながら, センター内の生活だけでは与えられる刺激も限られ, また, 長期入院のための慣れも加わり反応が乏しくなりやすい. 今回, 日常的な行動である「外出」を植物状態患者の訓練プログラムに加えて, 異なる環境刺激を提供し, 共通体験をもつなかで反応の観察を試みたので, 若干の考察と共に報告する. 【対象及び方法】 今回の「外出訓練」は, センター入院患者48名全員に対し個々の症状と通常の訓練内容を考慮して, PT, ST, SW, OT合同で計画, 実施した. 時間は, 患者の活動性が比較的高い午前11時から12時を選び, 場所は, センターから徒歩圏内の海岸, 公園, コンビニエンスストアなどで, 人数は各回患者2~3名, PT他1~3名の介助スタッフで1995年8月より1年間行った.
ISSN:0289-3770