肺切除術後急性期における胸部理学療法施行上のリスク管理について

• Published in: 理学療法学 Vol. 22; no. suppl-2; p. 495
• Main Authors: 西野学, 清光至, 宮腰実紀, 片田圭一, 吉藤桂子, 中村弘美, 山田英司, 椿原よし美, 佐藤日出夫, 島巌
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 日本理学療法士協会 1995
• ISSN: 0289-3770

肺癌術後急性期における胸部理学療法(以下CPT)施行上のリスク管理に関して循環動態の変化から若干の知見を加え報告する. 1993年11月から94年10月までの1年間に当院呼吸器外科で肺葉切除術または肺全摘術を施行した患者のうち調査可能であった29例(平均年齢64.9±10.5歳, 37～81歳)を対象とした. 方法は, 術前及び術後集中治療室(以下ICU)での管理状態から, 変数として心拍数(以下HR), 血圧(以下BP), 心胸廓比(%, 以下CTR), 水分出納バランス(ml, 以下Ba), 単位時間あたり尿量(ml 1/kg/h, 以下UV)を挙げ, 術前リスクファクターの有無, 術後循環器合併症の有無により群分けした対象それぞれについての術前と術後の経時的比較および各群間での比較を行なった. なお術前リスクファクターとは, 心電図異常, 高血圧, Pa02低下, 循環器合併症の既往とし, 術後循環器合併症とはaf, VPC, ST低下などの心電図異常と定義づけた. 各変数のうち, HR, BP, CTRは術前, 当病日術直後, 術後4時間後, 1病日AM7時, PM4時, 2病日AM7時の6回測定し, BaおよびUVの測定は各病日毎とした. 統計学的処理は, 各群内の経時的比較にはunpaired t検定を, 群間比較にはunpaired t検定を用いた.