脳性麻痺者を対象とした手・脚駆動車椅子の開発

近年, 車椅子の研究が盛んに行われているが, それらのほとんどは脊椎損傷者や片麻痺者を対象としている. しかし, 脳性麻痺者用の車椅子, 特に自立制御型車椅子の開発研究の報告は極めて少ない. 現在, 施設入所脳性麻痺者の重度化にともない車椅子が重要な移動手段となっているが, その場台従来からの一般的な車椅子(以下NWCとする)が処方されている. しかし, この車椅子において様々な問題が生じている. NWCで提供される椅座環境では椅座姿勢の保持が難しく, 異常な駆動動作によりさらに椅座姿勢が崩れてしまう. その矯正としてベルト, パッド等が使用されているが, それにより人間側にストレスが生じてい...

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Published in理学療法学 Vol. 19; no. suppl; p. 320
Main Authors 山中雅智, 八田達夫, 西村重男, 川村賢治, 梅田信吾, 吉田順一, 村井新知, 森谷浩二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本理学療法士協会 1992
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ISSN0289-3770

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Summary:近年, 車椅子の研究が盛んに行われているが, それらのほとんどは脊椎損傷者や片麻痺者を対象としている. しかし, 脳性麻痺者用の車椅子, 特に自立制御型車椅子の開発研究の報告は極めて少ない. 現在, 施設入所脳性麻痺者の重度化にともない車椅子が重要な移動手段となっているが, その場台従来からの一般的な車椅子(以下NWCとする)が処方されている. しかし, この車椅子において様々な問題が生じている. NWCで提供される椅座環境では椅座姿勢の保持が難しく, 異常な駆動動作によりさらに椅座姿勢が崩れてしまう. その矯正としてベルト, パッド等が使用されているが, それにより人間側にストレスが生じている. つまり人間側では以上運動および痺性の増強, 疼痛, 変形の誘発, , 車椅子側にはバックパイプ, レッグパイプ, フットレストの変形破損がみられる. そこで我々はこれらの問題を考慮した成人脳性麻痺に対する車椅子を開発したので報告する.
ISSN:0289-3770