正常人膝の遠心性収縮と求心性収縮の比較

「目的」 スポーツにおける膝の役割は大きく, 筋, 関節の働きにより運動エネルギー, 位置エネルギーの吸収, 蓄積, 出力を効率よく, 合目的的に行っているが, 筋-関節メカニズムを解明することは近年増加した膝損傷を予防するためには重要である. 筋の収縮様式には遠心性収縮(以下ECC)と求心性収縮(COC)および等尺性収縮(ISC)の三形態があり, その出力強度はECC>ISC>COCとなると報告されている. Hill(1938)は定常収縮によって短縮する筋(COC)の負荷Pと短縮速度vとの関係を求め, 収縮に伴う熱産生を測定して, 次の筋の特性方程式をたてた. (P+a)(v+b)=b(P_...

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Published in理学療法学 Vol. 17; no. suppl; p. 380
Main Authors 高柳清美, 堤文生, 浜田哲郎, 大野寿子, 下畑博正, 吉村理, 井原秀俊, 中山彰一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本理学療法士協会 1990
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ISSN0289-3770

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Summary:「目的」 スポーツにおける膝の役割は大きく, 筋, 関節の働きにより運動エネルギー, 位置エネルギーの吸収, 蓄積, 出力を効率よく, 合目的的に行っているが, 筋-関節メカニズムを解明することは近年増加した膝損傷を予防するためには重要である. 筋の収縮様式には遠心性収縮(以下ECC)と求心性収縮(COC)および等尺性収縮(ISC)の三形態があり, その出力強度はECC>ISC>COCとなると報告されている. Hill(1938)は定常収縮によって短縮する筋(COC)の負荷Pと短縮速度vとの関係を求め, 収縮に伴う熱産生を測定して, 次の筋の特性方程式をたてた. (P+a)(v+b)=b(P_0 +a)(P_0 :最大張力, a:熱定数, b:エネルギー遊離速度)Pとvとの関係は直角双曲線で表すことができることが実験的にも確かめられた. 加えて真島ら(1972)は重い負荷によって筋が引き伸ばされる時の(ECC)伸張速度-vを測定し, 力学定数a,bがa, bに代わるだけで直角双曲線関係は保たれるとした. 一方ElorantaとKomi(1980)は生体筋の比較を行い, 積分筋電図(IEMG)はECC<COCとなると報告した. 今回の研究の目的は生体筋における筋収縮形態と筋活動および収縮速度の関係を明らかにすることである.
ISSN:0289-3770