高次脳機能障害を伴う重症片麻痺例に対する早期他動的歩行訓練(PASSIVE WALKING)の効果について

目的;脳損傷例における高次脳機能障害と重度な麻痺の存在はきわめて重篤な障害を構成し, そのリハビリテーションは著しく困難であることが知られている. このような重症例に対してどのような治療的接近が可能であるかを検討することは重要である. 我々は昭和63年5月からこのような例に対して, 早期から他動的歩行訓練を施行してきた. そこで今回その臨床効果について従来の訓練方法を施行した群との比較において検討した. 対象と方法;1)対象は当院に入院しリハビリテーション部で治療訓練を行ったもののうち, 次の基準を満たすもの32例である. すなわち(1)右手利きで一側性の初発脳血管障害例(小脳・脳幹部病変を除...

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Published in理学療法学 Vol. 17; no. suppl; p. 310
Main Authors 杉本論, 網本和, 高橋哲也, 後藤恵子, 牧田光代, 青木治人, 三好邦達, 小松みゆき
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本理学療法士協会 1990
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ISSN0289-3770

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Summary:目的;脳損傷例における高次脳機能障害と重度な麻痺の存在はきわめて重篤な障害を構成し, そのリハビリテーションは著しく困難であることが知られている. このような重症例に対してどのような治療的接近が可能であるかを検討することは重要である. 我々は昭和63年5月からこのような例に対して, 早期から他動的歩行訓練を施行してきた. そこで今回その臨床効果について従来の訓練方法を施行した群との比較において検討した. 対象と方法;1)対象は当院に入院しリハビリテーション部で治療訓練を行ったもののうち, 次の基準を満たすもの32例である. すなわち(1)右手利きで一側性の初発脳血管障害例(小脳・脳幹部病変を除く)で, (2)リハビリテーション開始時に痴呆・失語・失行・失認症状のいずれか一つ以上の高次脳機能障害を示し, かつBrunnstrom stageIII以下の麻痺を示すもの, および(3)理学療法の訓練を少なくとも1ヶ月以上行ったもの, である.
ISSN:0289-3770