従来の腰痛体操の問題点

従来の腰痛症に対する運動療法は, 患者の病態にとらわれず, 画一的に行なわれている傾向があり, 腰椎のBiomechanicsに関する論文と照合すると矛盾点が多々見られる. 例えば, Williamsの提唱した前屈運動は, 腹腔内圧の上昇により椎間板内圧を減少させる目的もあり行なわれてきたが, Andersonは前屈運動により腹腔内圧とともに, 椎間板内圧も上昇するため, 問題であると述べた. またMcKenzieの提唱した後屈運動は, 髄核の前方移動による神経根と線維輪への圧力の減少をはかる目的であるが, 髄核の動きに関して, 実際In vivoでの検討が成されておらず, またNachems...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in理学療法学 Vol. 17; no. suppl; p. 218
Main Authors 荒木秀明, 坂本三夏, 清水貴子, 金澤浩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本理学療法士協会 1990
Online AccessGet full text
ISSN0289-3770

Cover

More Information
Summary:従来の腰痛症に対する運動療法は, 患者の病態にとらわれず, 画一的に行なわれている傾向があり, 腰椎のBiomechanicsに関する論文と照合すると矛盾点が多々見られる. 例えば, Williamsの提唱した前屈運動は, 腹腔内圧の上昇により椎間板内圧を減少させる目的もあり行なわれてきたが, Andersonは前屈運動により腹腔内圧とともに, 椎間板内圧も上昇するため, 問題であると述べた. またMcKenzieの提唱した後屈運動は, 髄核の前方移動による神経根と線維輪への圧力の減少をはかる目的であるが, 髄核の動きに関して, 実際In vivoでの検討が成されておらず, またNachemsonは後屈5~8度より椎間板内圧の上昇と線維輪への剪断力が生じたと述べ, 疑問である. これらの相対する治療法の問題点に関して, 椎間板の動態より検討されたものはまだ少ない. 今回我々はDiscographyとMyelographyを施行した椎間板性腰痛と考えられる患者に対して, その機能撮影像より椎間板のBiomechanicsについて検討し, 併せて腰椎単純X線からも種々のParameterを測定し, 腰痛との関連性について検討し, 運動療法について若干の知見を得たので報告する.
ISSN:0289-3770